新型コロナウイルス感染拡大の第2波が懸念される中、本格的な猛暑シーズンが到来、医療機関に搬送される熱中症患者は急速に増えている。感染症対策と暑さ対策、この夏を乗り切るためにはどうしたらいいのだろうか―。

マスク着用は感染防止の基本

コロナ感染症では、マスクを正しく着用すればせきやくしゃみによるウイルス拡散を抑える効果が期待できる。また、無症状の感染者の飛沫にもウイルスが含まれることが分かっており、マスク着用は感染防止対策の基本になりつつある。世界保健機関(WHO)も十分な対人距離が取りにくい場合はマスク着用を推奨している。

夏場の着用は体に負担

しかし、気温が高い屋外でのマスクは息苦しさの原因になり、屋外で激しく体を動かすと熱中症や酸欠の危険も指摘される。日本救急医学会などは夏場のマスク着用は心拍数呼吸数が上がり体に負担がかかるとして、適宜マスクを外すよう提言。マスクで口内の湿度は上がるが、渇きを感じなくても水分をこまめに摂取するよう促している。

屋外で2メートルの距離があればマスクを外して

熱中症を防ぐにはマスクを外したほうがよい場面もある

このため厚生労働省や環境省は、屋外で人と2メートル以上の距離を保てる場合はマスクを外し、着用時は負担のかかる作業や運動を避けるよう呼び掛けている。スポーツ庁も全国の教育委員会に、学校での体育では着用不要と通達した。物流業界では配達員の熱中症を防ぐために、屋外での業務中は各自の判断でマスクを外す取り組みも始まっている。

 

在宅勤務や休校の影響で外出する機会が少なかったため、体が暑さに慣れていない。だが、感染症対策でマスクを着用する機会が増えており、高齢者や子ども、屋外で働く人、運動する人は例年以上に熱中症への警戒が必要だ。

(共同通信編集委員・遠藤一弥)