みなさんは、困っている人を見かけたとき、迷わず手を差し伸べることができますか? 少しためらってしまう人も少なくないはずです。そこで、私が目の不自由な方に初めて接したときのことをお話ししようと思います。(高校生記者・かーびぃ=3年)
目の不自由な男性が目の前に「私が行かないと」
私が利用している電車の駅は終点で、乗客全員が下車します。全員が降りると、ホームで折り返し運転の電車を待っていた人が、乗車し始めます。私もその一人です。
あの日、私はとても疲れていたため、どうしても座りたくて席取りに必死でした。なんとか座席につき、顔をあげると白杖を持った男性が立ったまま終点に気付かずに寝ていることに気づきました。
男性はこの駅で降りるはずです。周りの人たちは気づいていないのか、誰も声をかける様子はありません。「私が行かないと」と思いました。
エスコートの方法が分からず困惑
肩を軽くたたき、「○○駅に着きましたよ」と声をかけました。
すると男性はハッとしましたが、困った様子で立ち止まったままでした。出口が分からなかったようです。案内しなければと思いましたが、人生で初めて目の不自由な方と接した私は、知識も経験もなく、どうやってエスコートすればいいか全くわかりませんでした。
思わず「どうしたらええんやろ……」と、言葉をもらしてしまいました。恐る恐る男性の腕をつかみ、出口の方向に歩いて行きました。
「段差があります」と声をかけ、なんとか下車できましたが、改札へと向かう階段の前で、私はまた悩みました。階段のエスコートの仕方なんて分からないし……と思案していると、男性に「ありがとうございました」と言われました。ゆっくりと降りていく男性を見ながら、これで本当によかったのかな、と不安でした。
困った人を助けられる知識がほしい
電車に戻ると、座席は空いていませんでしたが、疲れはどこかにいっていました。それより、先ほどのエスコートのことが心配で、すぐに調べてみました。
すると、私が腕をつかむのではなく、相手に腕をつかんでもらうのがよいということを知りました。階段の前では、しっかりと声掛けをして、「改札まで案内しましょうか」と尋ねればよかったとも思いました。
正しい知識は、自分に自信を与えてくれます。今ならきっと、不安にならずに誘導できると思います。いつ、どんな場面でも、迷わず人助けができるように、日頃からたくさんのことを学んでおきたいと思いました。みんなが正しい知識を持ち、困っている人には積極的に声をかけて、互いに支え合っていける世の中になってほしいと思います。