全国高校駅伝は12月25日、京都市西京極陸上競技場を発着点として行われ、第65回となる男子(7区間42.195キロ)は倉敷(岡山)が2時間2分34秒で初優勝を飾った。(文・写真 中尾義理)
倉敷「全員が一つになった」
連続最多の39年連続出場で、前回3位の倉敷がようやく優勝をつかみとった。初出場時のメンバーだった勝又雅弘先生は「不安もあったが、全員が一つになり、きずなを見せることができた」と選手たちをたたえた。
ロードに適性がある畝(うね)拓夢(3年)を1区、ケニア人留学生のジョエル・ムァゥラ(3年)を3区、国体5000メートル3位のエース前田舜平(3年)を4区と、頼りがいのある3人を主要3区間に配置。1区の畝が先頭から11秒差でたすきをつなぐと、3区ムァゥラは先頭にこそ立てなかったが、2秒差として前田へ。優勝を争う佐久長聖(長野)を逆転することが前田の仕事だった。
「お前が決めろ」先生の声に発奮
1年次に1区56位でチーム過去最低の53位の原因を作ってしまった前田に、沿道から勝又先生が「お前が決めろ」と叫ぶ。その声に「気合を入れ直した」と言う前田は佐久長聖を一気に1分4秒も突き放した。
3キロと短い5区を畝の双子の兄・歩夢(3年)が堅実につなぐと、6区は北野太翔(2年)。追ってくる佐久長聖の選手は北野よりトラック5000メートルの記録では約18秒も速いが、北野はリードをさらに5秒広げる区間賞の走り。確定的なリードを保って7区の名合治紀(2年)がゴールに飛び込み、待ちに待った歓喜の輪が広がった。
先輩がたすきをつないでくれたからこそ
主将の畝拓夢は「1年生のときの自分たちの失敗にリベンジできた」と言い、殊勲の前田も「3年間で一番の走りができた。完全にリベンジできたと思う」と笑顔。そして2人はこう声をそろえた。「先輩方がたすきをつないできてくれたからこそ39回の出場があり、今日がある」と。
感謝と誇りと、前々回53位と力不足だった自分たちへのリベンジ。そのすべてをエネルギーにした倉敷の駅伝。オレンジ色のユニホームがまぶしかった。