花田凜君(東京・小石川中等教育学校5年=高校2年)は、昨年行われた文化部の全国大会にあたる「全国高校総合文化祭」写真部門で最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞しました。受賞作「わしが主役じゃ」をどのように撮影したか、良い作品を撮るうえで大切にしていることはなにか、教えてもらいました。
超近距離でおみこしの臨場感を撮影
――この作品は、お祭りの様子ですか?
そうです。近所で行われた秋祭りで、おみこしを担ぐ人々の様子を撮影しました。
――中央の男性が、とても良い表情をしていますね。どうやって撮ったんですか?
実は、一般の人では入れないところで撮影するのを許可してもらい、専属カメラマンのような形でとても近くまで寄っています。このおみこしをやっているグループに知り合いがいて、実現しました。
この男性は知り合いではないのですが、よい表情をされていたので12ミリの超広角レンズを使いシャッターを切りました。
一度しかない人の表情を取るのが好き
――撮影する際にこだわったポイントは?
周りが暗く、日陰になっていた場所だったんです。けれど、一か所だけ光が漏れて、ちょうど光が当たるスポットがあったんです。
そこを狙って、サイドは暗いけれど、真ん中に光がちょうど入っている状態で撮影しました。おみこしの迫力を出したかったので、一番寄れるところまで寄って、撮りました。
――かなり人がいる中での撮影は難しそうですね。
押し合い、へし合いの状態に入り込みました! 手が出ている感じも迫力が出ているかと思います。大変というよりも、自分自身楽しんで撮れました。
――良い写真作品を撮るためのポイントは?
まず、僕は人を撮るのが好き。人って、その瞬間にしか見せない表情があります。二度と同じ表情を見せない。
例えば、このおみこしを担ぐ男性だったら、(写真を見る人にとって男性は)知らない人なのに、「こんなに楽しそうにお祭りをやってる」というのが、写真で伝わるのがすごいなと思います。
人間は、相手との関係性がないと撮れない。この作品も、知り合いがいるからここまで接近して撮れたんです。おみこしの男性とも、撮りながら仲良くなることができました。撮影するときって、知り合いじゃなかった人たちも温かく迎えてくれる感じがするんです。
今の時代、写真は簡単にスマホで撮れて、それを人にあげたり、LINEやインスタでアップしたり共有が容易にできます。写真の需要が拡大しているように思えるんです。被写体の人が喜んでくれるのが自分にとって一番うれしい。相手が喜んでくれる、良い写真を撮るということに一番つながるんじゃないかなと思ってて。
年間テーマを設けて作品作り
――いつから写真を始めたんですか?
中高一貫校で、中学1年の時から写真部に入りました。その時に一眼レフを買ってもらって、ずっと続けています。
個人の作品の撮影のほかに、学校行事の撮影も行っています。その写真で体育祭、文化祭など行事としてまとめたムービーも作っています。それを見てみんなが喜んでくれるのが、部活のやりがいにもなっているんです。
作品撮影の際は、テーマを年度ごとに設けます。今年度は、24時間やっている認可保育園に取材に1年以上通い続けて作品を取りました。
(昨年の全国高校総合文化祭で取材)