昨年12月、第14回全国高校生英語ディベート大会が共愛学園(群馬)で行われ、7年ぶりに宇都宮高校(栃木)が優勝した。どんな準備をしてきたのかインタビューしてきた。(高校生記者・越沢琴奈)
労働時間を制限する?
議題は「日本国は、残業も含めた週あたりの最長平均労働時間を、(EUにならい)48時間に制限すべきである。是か非か」。
決勝では、宇都宮高校(栃木)が肯定側、対する高志高校(福井)が否定側となり、最後までどちらが勝つかわからない名勝負を繰り広げた。特に、相手の発言があいまいだったり具体的ではなかったりした部分を鋭く指摘しあっていた。
前日の失敗を生かして
前日の予選において、決勝で戦った高志高校と対戦し、負けていたという。
決勝戦でアタック(相手の立論に対する反論を行う役割)を務めた鎌倉怜央君(宇都宮高校2年)は「前日の失敗を生かして対策を行い、決勝のディベートに臨みました。特にディフェンス(相手の反論に対する反論を行う役割)とサマリー(自分のチームの討論の総括を行う役割)の強化ができたと思います」と振り返った。
論理の穴を見つけよ
全国大会に向けてどう準備したか鎌倉君に聞くと、部活では討論する意見の根拠「evidence」を集めるのに苦労したという。「見つからなければ見つける」という意気込みで、時には家に持ち帰って調べることもあった。
evidenceを集め終わると、部内でチームに分かれて練習試合を行った。実際にディベートを行い、論理の穴を見つけたり、顧問の先生から厳しい指摘を受けたりして、自分たちのディベートのブラッシュアップを行うというプロセスを何度も繰り返した。
明確に、わかりやすく
心掛けていることは「話す内容を明確にわかりやすくすること」だ。最優秀ディベーター賞に輝いた宇都宮高校の渡辺康君は「自分にわかっていないことは、相手にもわかってもらえません。自分の話すことは、必ずすべて理解するようにしています」と話していた。
英語ディベートの魅力は「自分で考える力や現状の問題をよく分析する力が問われること」、そして「友達ができること!」と笑顔で語ってくれた。
取材後記 討論の激しさに圧倒
今回、初めて英語ディベートを見ました。短い制限時間の中で、論理の一寸の隙をもつく討論の激しさに圧倒されました。
冬だというのに会場は熱気に包まれており、オーディエンスからも「面白かった、すごかった」という声がいくつも上がっていました。また、すべてのディベーターが発言前に審査員、オーディエンス、そして対戦相手に感謝を示しているのが印象的でした。英語ディベートの魅力に私もはまりそうです。
英語ディベートとは
ある議題に対して肯定側と否定側に分かれて英語で討論。どちらが説得力があるかを争う競技。コンストラクション(立論)、アタック(反論)、ディフェンス(相手の反論に対する反論)、サマリー(自分たちの討論の総括)と質疑応答で主に構成されており、それぞれの制限時間が非常に短い。英語でのコミュニケーション能力はもちろん、話すことを論理的に組み立てたり、情報をリサーチしたりする力が養われる。