琉球王国の中心だった

琉球王国の中心地だった首里城(那覇市)が全焼、代表的な建物の正殿が焼失するなど主要7棟に被害が出た。建物群で所蔵している約1500点の絵画や漆器などのうち約500点が焼失した可能性があるという。

琉球王国は1429年に成立し、首里城の内郭は15世紀初期、外郭は1 6世紀中期に完成。廃藩置県で1879年に日本政府が軍隊を派遣し、最後の国王尚泰(しょうたい)を追放するまで琉球王国の中心だった。

 

戦争で焼失後復元

正殿は1925年に国宝に指定されたが、太平洋戦争中の米軍の攻撃で全ての建物が焼失。92年の沖縄復帰20周年を記念し古い資料などを基に沖縄の伝統技術を駆使して主要施設が復元され、城門の一つ守礼門は2千円札の図柄になった。

首里城跡を含む「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」は2000年、東アジア諸国との中継貿易で栄え独自の文化を築いた歴史を物語るとして世界遺産に登録された。琉球王国の栄華を伝える県民の精神的支柱ともなっており、昨年度は約280万人が訪れた。

文化財の防火に課題

火災は10月31日午前2時半ごろに発生。正殿内部が火元とみられており、配線にショート痕のようなものが複数見つかっているが、現場の損傷が激しく、原因解明には時間が掛かるとみられている。

政府は4月のパリ・ノートルダム寺院の火災以降、文化財の防火対策強化を呼び掛けていた。国は国宝や重文建物については防火対策の費用を一部支援しているが、首里城の復元建物など、それ以外の文化資産に国からの補助は出ていない。