趣味は古いもの探し

「古いものを探すのが趣味です」と言うと、大半の人は少し驚く。僕が高校生だからだ。しかも、僕の「古いもの探し」は、骨董品や古紙幣を集めたりするものではない。家にある蔵に眠ってる手紙や文書や新聞といった、おそらくほかの人から見たら骨董品や古紙幣ほど価値があるとは思えないものを集めるのが趣味なのである。

蔵に眠っている文書や手紙など

先祖の残した新聞記事から伝わってきたもの

なぜそれが趣味なのか。それは歴史が好きだから。手紙や文書や新聞、そういったものから、その時生きていた先祖の歴史を感じることができる。初めて家の蔵に入ったとき、なぜか1枚だけ棚の上においてある新聞を見つけた。「なぜ」と思い調べてみたら、曽祖父の兄が、戦場で死んだことを伝える記事だった。

我が家の誰一人として、その記事の存在を知らなかった。曽祖父の兄が戦争で死んで、その記事を誰かが大切に取っておいた。そういう歴史を、忘れ去られる前に、次世代の担い手である僕が記憶することができたのだ。

その記事を取っておいた人は、どういう気持ちでとっておいたんだろうか。僕がそれを見つけたと聞いたら、どう思ってくれるんだろうか。そんなことを思うと、とても感傷的な気持ちになる。

家族の歴史を感じてみよう

皆さんの家にも、そんなものはないだろうか。家族の歴史を感じるもの。それは紙や物であることもあるし、人であることもある。古いものの中に眠っている歴史を、肌で感じてみてはどうだろうか。(上田有悟・2年)