藤原智也(京都・東山3年)は、8月に行われた全国高校総体(インターハイ)と全日本ジュニア選手権(18歳以下)のテニス男子シングルスで2冠を達成した。精神面での弱さをどうやって乗り越え、栄冠を手にしたのかを聞いた。 (文・写真 木和田志乃)

速いテンポでプレーし、相手のミスを 誘うテニスが持ち味の藤原智也

試合前日に風呂掃除

ボールを打つのは毎日1時間から1時間半。練習はラリー中心だ。ライバル選手を想定し、球種やコースなど具体的に対策を考えて取り組む。どんなボールにも対応できるようにアウトしたボールも返す。

「ラリーでは負けない。ミスしないことが自分の武器」だと言い切る。「このポイントを取る」と大声で叫び自分を鼓舞し、意識的にラケットを見て集中力を高めている。

試合前日には風呂掃除をすると決めているという。ベンチにバッグや飲み物を置く位置もアンダーウエアも毎回同じ。サーブ前には必ずベースラインのセンターマークにボールをつくなど「自分でも神経質だと思う」(藤原)が、ルーティンを守ることで落ち着いてプレーできるという。

調子良くても油断せず

1年生の夏のインターハイ団体初戦が転機だと振り返る。高校入学直後の全国大会で3位に入賞した藤原は期待されていたが、チームの勝敗が懸かった試合で敗退。「高校のテニスは甘くない」と痛感したという。「(1年夏のインターハイ以降)ミスが減りました。調子が良くても油断しないのは、この試合があったからです」

課題は「重要なポイントでメンタルが弱くなって引いてしまうところ」を挙げる。相手に先に攻められて点を奪われることも多いという。今年3月の選抜大会では優勝候補と目されていたが準々決勝で敗退。放心状態となり一時はテニスをやめようと思うほどだったという。「優勝すれば全米オープンの出場権が得られるため、勝ちたい気持ちがプレッシャーになってしまった」と反省した。

人間力が試される魅力

府大会優勝でインターハイ出場は決めたものの、近畿大会などで負けることもあった。インターハイも優勝が目標だったが「自分の弱さを認めて、挑戦をキーワードに楽な気持ちでプレーできたのが良かった」という。

課題にしていた勝負どころでも「守りに回らず攻めることができた」。自分をコントロールする術を身に付けたことが優勝につながった。「テニスコートには相手と自分しかいません。孤独だからこそ、人間力を試されるのがテニス。そこが難しく、魅力でもあります」

Q&A 読書が好き

 

Q 好きな食べ物は?

A 麺類や焼き肉です。中学までは試合前にスパゲティを食べていました。今はそこまで気をつかいませんが、カップ麺は避けています。

Q オフの日は?

A ボウリングやビリヤードなどをして体を動かしています。友だちも体を動かすのが好きなので、スポーツすることが多いです。

Q 好きな教科は?

A 国語です。本を読むのが好きです。最近は映画のノベライズ『22年目の告白』や『一流をめざすメンタル術』を読みました。

Q テニスノートは取っていますか?

A スマホに試合の感想やコーチからのアドバイスを記録し、時々見返しています。

ふじわら・ともや

2001年9月26日、京都府生まれ。嘉楽中出身。サン城陽テニスクラブ。テニスが趣味の両親の影響で小1でテニスを始める。17年JOCジュニアオリンピックカップ全日本ジュニア選抜室内選手権優勝。18年世界スーパージュニア選手権男子ダブルス準優勝。170センチ60キロ。