秀明英光(埼玉)テニス部のエース松下龍馬と間仲啓(ともに3年)は、インターハイ男子ダブルスで1年次に4強入りし、昨年は準優勝を果たした。3度目の、そして最後のインターハイで、悲願の高校日本一をつかみ取る。(文・写真 小野哲史)
世界の舞台で自信
普段の練習はそれぞれの所属クラブで行い、一緒に練習するのは大会前の数回程度。それでも個々がレベルアップを図りながら「今度こそ全国で優勝しよう」と、今年のインターハイ予選を迎えた。松下・間仲組は「龍馬がラリーで押して、相手が振り遅れたり逃げたりしてきたチャンスを僕がボレーで決める」(間仲)というのが得意パターン。県大会でも要所でそのプレーが光り、2年ぶりの優勝で全国行きを決めた。
松下は今年1月、目標だった全豪オープン・ジュニアに初出場。「本戦を懸けた予選の決勝は、40度を超える酷暑の中での戦いでしたが、フットワークを生かして粘り強く相手の弱点を突くという自分のテニスを発揮できた。その上で勝てたのが自信になりました」。その後も精力的に国際大会に出場し、ニュージーランドや中国の大会で優勝するなど、確かな成長を感じている。
ダブルス息ぴたり
「龍馬はサーブが良いので、サーブのときは楽にゲームを取れます」(間仲)、「間仲は相手からするとどこに打ってくるか分からないし、ボレーを確実に決めてくれます」(松下)と、2人はダブルスのパートナーとして互いを信頼し合う。
県大会のシングルスでは両者が決勝で激突し、接戦の末に松下に軍配が上がったが、ともにシングルスでの出場権も確保した。4年連続出場を目指した団体戦は、チームがあと一歩というところで敗れただけに、2人の個人戦に懸ける思いはより一層強くなった。間仲はダブルスで優勝するためには「自分のファーストサーブの確率を上げて、ゲームをしっかりキープすること」と話す。
悲願の高校日本一を
松下は昨年のインターハイでシングルス初戦敗退。ダブルスは決勝で3冠が懸かった相手に対し「力んで空回りしてしまった」と振り返る。「将来のために国際大会を頑張っていますが、高校生としてはインターハイも大切。同じ高校生には負けたくないし、負けられません。本当は本番で3冠を目指すと言いたかったのですが、それはかなわなかったので単複で個人2冠を達成したい」
世界に羽ばたくことが目標の松下と間仲にとって、インターハイ制覇は最終ゴールではない。しかし、そこを通過した先に、世界が待っていると信じている。
プロフィル
まつした・りょうま 2001年6月14日、埼玉県生まれ。土屋中卒。Fクラブ所属。15年U14全日本ジュニア優勝、17年U16全日本ジュニアベスト4、19年クライストチャーチITF優勝。170センチ、61キロ。
まなか・けい 2002年3月23日、埼玉県生まれ。羽生東中卒。むさしの村ローンテニスクラブ所属。17年U15全国選抜ジュニアベスト4、18年U16全日本ジュニアベスト4。176センチ、58キロ。