完成せず迎えた文化祭初日、「無理だ」と言わない先輩に励まされ

夏休みをかけ、本腰を入れて制作に没頭したが、完成には至らず文化祭を迎えた。初日、ほかの企画が盛りあがりを見せる中、メンバーたちは校庭で作業に追われていた。山内さんは、「それでも悲観的な気持ちにはならなかった」と、当時の心境を明かす。「道本先輩が一度も『無理』って言わなかったんです。じゃあ、このまま作業を続けていれば動くのかなって(笑)」

企画始動の2月から参加した脇水柚菜さん(2年)は、制作の日々を振り返る。「コーヒーカップの電動化って、実現の可能性が低い、無謀な企画に思えました。でも私たち高校生にもできるんだ……。できたんです。この経験で、他のことも頑張ろうと思えるような前向きな気持ちをもらいました」。

来場者を乗せられるようになったのは2日目(最終日)の午後からだった。脇水さんは「お客さんたちが口々に『すごい!』と言ってくれました。完成できて良かった……」と、胸をなでおろした。

「どこの高校もやっていないことをしたい」(道本君)と、オリジナリティを追求し続けたメンバーたち。従来の人力ではなく電力でカップを回す、高校文化祭では最先端の「電動コーヒーカップ」がここに完成した。

和風デザインが目を引く電動コーヒーカップ(学校提供)