7月に佐賀県で行われた全国の文化部の全国大会「全国高校総合文化祭」の演劇部門で、屋久島高校(鹿児島)演劇部が優秀賞のうちの一校に選ばれた。8月下旬には、東京・国立劇場にて開催した「全国高総文祭 優秀校東京公演」受賞作を披露した。9月7日(土)にはNHK Eテレ「青春舞台2019」でドキュメンタリーが放送される。(文・写真 中田宗孝)

同部は、顧問の上田美和先生による脚本「ジョン・デンバーへの手紙」を上演した。近年、同部は屋久島をテーマにしたオリジナル作品に取り組んでいる。今作も、1970年代に屋久杉伐採の反対運動に奔走した島民たちの実話を基にした物語だ。今作の脚本を読んだキャストリーダーの日髙彩那さん(3年)は、「……感動しました。屋久島の歴史を噛みしめながら、私たちの郷土愛を届ける演技をしようと思いました」と振り返る。

郷土への思いを込めて演じた(8月22日、東京公演リハーサル)

島民の思いを演技に乗せて

山下万希君(3年)は、屋久杉伐採の反対を訴える記録映画づくりに努めた主人公の高校教師を演じた。彼は、演じる役のモデルとなった島民から当時の出来事や思いを直接聞いて、せりふに深みをもたらしたそうだ。「万希君も自然を愛する男なので、役柄と一つになり演じていました」(部長の濱田凪沙さん、3年)

山下君演じる教師が、米国歌手ジョン・デンバーに無償での楽曲使用を依頼する手紙をしたためる(8月22日、東京公演リハーサル)

気づいたら遠慮なく指摘

顧問の先生と生徒、先輩と後輩の垣根ない部の雰囲気が、作品の完成度を高めた。「気づいた人が遠慮なく指摘して、作品がどんどん良くなった」(日髙さん)。そして部の中心には、「楽しもう! この楽しさをお客さんにも感じてもらおう!」と、部員たちを鼓舞し続けた濱田さんがいた。「体調の悪い部員がいたら真っ先に気がついて労るんです。部員第一で行動する、頼りになる部長なんです」(日髙さん)

濱田さんは「そうなんですよ(笑)」と煙に巻くが、親友の日髙さんを見つめる表情は、満面の笑みを浮かべていた。

部長の濱田さん(右)と日髙さん(8月22日、東京公演リハーサル)
タイトルの「ジョン・デンバー」とは、実在の米国歌手。彼の楽曲が実際に製作された映画「屋久島からの報告」(1978年)に使用された(8月22日、東京公演リハーサル)
【全国高校総合文化祭 演劇部門のドキュメンタリーと作品が放送】

NHK Eテレ「青春舞台2019」

放送日時

・9月7日(土)22:00〜23:00 ドキュメンタリー

・9月8日(日)14:30〜15:40 最優秀校上演(逗子開成高校「ケチャップ・オブ・ザ・デッド」)

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