今年夏に行われた高校文化部の全国大会「全国高校総合文化祭」の郷土芸能部門で、日本一にあたる文部科学大臣賞を受賞した南多摩中等教育学校(東京)太鼓部に話を聞いた。(文・写真 中田宗孝)

毎年八丈島で合宿、情景を音で表現

演奏曲「八多化(やたけ)の響き」の八多化とは八丈島のこと(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)

同部では、八丈島に伝わる「八丈太鼓」に取り組んでいる。全国大会で演奏した同部の代表曲「八多化(ルビ:やたけ)の響き」は、太鼓の拍子に合わせて女子部員の歌う「太鼓節」から始まる。その際、着物姿の女性(女子部員)が優雅に叩くのも八丈太鼓の特徴の一つだ。

みんなで笑い、涙した太鼓部での思い出を音に込めた(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)

激しくも一体感のある演奏中、部員たちは、毎年の夏合宿で訪れる八丈島の情景を浮かべていた。八丈島の青い空や海、島民の温かさも音色で表現できるように、心を一つにしたという。全国大会では「みんなの気合いと演奏、今までで一番」だったと部長(大会当時)の谷口大地君(6年=高校3年)は振り返る。

中1からずっと一緒

谷口君(左)と野路さん(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)

部を全国の舞台へ導いてきた谷口君と副部長(大会当時)の野路秋音さん(6年)は、中学1年生の時から同部でともに活動してきた。野路さんは、部長の重責を果たした谷口君の姿を「部が良い方向になるような言葉をみんなに掛け続けていたんです」と労う。谷口君は「中学からこれまで、副部長は練習にほぼ皆勤。その姿勢は尊敬しかない」と称え合った。