芥川高校(大阪)和太鼓部は、7月下旬に開催される全国高校総合文化祭の郷土芸能部門に出場15回目となる強豪校だ。「プロを超えるアマチュア」を目指し、筋トレで体づくりに励み、バチを持つ腕の筋肉から表情に至るまで細部に気を配り、演奏を行っている。全国で披露するオリジナル曲を磨き上げる同部の練習風景を追った。 (文・写真 白井邦彦)

力強い演奏で、さらに高みを目指す

表情にも気配り

バチで太鼓をたたくと、腕に美しい筋肉の筋が浮かぶ。芥川高校(大阪)和太鼓部は、日頃の練習でも体全体を意識し、常にバチの先まで神経をとがらせ、表情にも気を配っている。次期部長の若林ケイン君(2年)は「和太鼓は音だけではなく、体全体の動きも含めて表現するもの。耳の不自由な方にも音楽を届けられるのが魅力です」と語る。

技術面の目標は、部訓の「プロを超えるアマチュアたれ」。1年生の約1年間を、筋トレや持久走などの体力アップ期間に充て、2年生からは和太鼓の技術を磨いていく。「約30曲のレパートリーの中には9分と長いものもあります。最後までやり切るにはベースとなる体力が大事。私も1年生のころに鍛えました」(副部長の森いふるさん・3年)

太鼓をたたくバチの先端にまで意識を集中させて練習を行う

地域で年間60回以上公演

「地域に愛される和太鼓部」をテーマに掲げて年間60回以上の地域演奏会を行う。学校近隣の幼稚園やお祭りなどへ出向いて演奏する。演奏会は部員たちの貴重な修業の場になっている。「演奏は自己満足では駄目。自分たちができたと思っても、見てくれる方々の反応が悪い場合もあります。現場の反応が全て。だから、60回以上の演奏会はいつも緊張感があります」(次期副部長の中嶌優斗君・2年)

タイヤを使って練習

和太鼓部の山下勉名誉顧問は「演奏、反省、練習の繰り返し。その中でうまくなる。芥川は、地域の方々に成長させてもらっていると思います」と感謝を言葉にする。

オリジナル曲で全国へ

全国高校総合文化祭では、雄大な世界観を約7分で表現したオリジナル曲「暁の大王」で勝負する。大阪府予選では1位だった。「創作メンバーが意見をぶつけ合って一から作った大事な曲。地域の演奏会などで試しながら全員で改良を重ねてきました。思いの全てを懸けます」(部長の野﨑星那さん・3年)

目標は2014年以来となる最高位の「優秀賞」。力強い演奏で「“令和初”の頂点を狙う!」(野﨑さん)

写真右から次期部長の若林ケイン君(2年)、部長の野﨑星那さん、副部長の森いふるさん(ともに3年)、次期副部長の中嶌優斗君(2年)
集合写真

部活データ

1995年創部。部員75人(3年生29人、2年生22人、1年生24人)。全国高校総合文化祭優秀賞2回、優良賞2回受賞。昨年は15カ国参加の「世界民俗芸能フェスティバル(ポーランド)」で特別賞を受賞。