高校生が主役の小説 熊本・東稜高校図書委員会
作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~
仰木日向著(ヤマハミュージックメディア、1600円)
◆夢中になれるものを探して
「何か特別なことをしたい」と思った女子高生の山波いろは。曲作りをしようとしてキーボードと作曲の本を買ったが挫折し、珠美に助けを求めた。難しいテクニックを教えてもらいながら、課題を一つずつクリアしていく。日々の生活に物足りなさを感じていたいろはが、夢中になれるものを探す物語だ。自分が打ち込めるものを見つけるきっかけにしてほしい。(P.N スノーボッカ・2年)
サクラ咲く
辻村深月著(光文社文庫、560円)
◆感動の青春ストーリー
三編の青春ストーリーが描かれている。中でも『世界で一番美しい宝石』は主人公に共感できる。一平は、映画同好会に所属する高校2年生。仲間2人と共に、高校生映画コンクールへの出品を目指す。ある日、立花先輩に一目ぼれし、主演女優を頼むが断られる。諦めきれない一平に、立花はとある本の探索を求めてくる。立花の心の琴線に触れた時、新たな物語が展開する感動の一冊。(P.N 花鳥風月・2年)
か「」く「」し「」ご「」と「
住野よる著(新潮社、1400円)
◆感情が見えるっていいこと?
性格が全く違うクラスメート5人は、ちょっとだけ特別な力を持っている。友だちや家族にうそをついてしまったり、自分を取り繕ったりと、それぞれが悩みを抱えているが、互いに支え合いながら解決していく。読者はその姿に励まされ、友だちのありがたさに改めて気付かされる。表紙の絵のような爽やかな青春がたくさん詰まっていて、爽快な読後感が味わえる。(江口綾音さん・2年)
昆虫部
椙本孝思著(幻冬舎、1400円)
◆困った時は虫頼み
友達がいない小栗颯太郎は、ある日昆虫部の手塚蛍に話し掛けられ、入部することに。部員は自分を含めてたった3人。部長はいじめられっ子の五十嵐航平。3人は、昆虫のもつ自然を生き抜く知恵でさまざまな問題を乗り越える。僕は生物部なので、虫の素晴らしさに刺激を受けた。各章の初めに紹介してある昆虫がストーリーに深みをもたせていて、虫が苦手な人も楽しんで読める。( P.N つまようじのみぞ・2年)
戒名探偵 卒塔婆くん
高殿円著(角川書店、1400円)
◆過去からのメッセージ
主人公の金満春馬は、住職代行の兄に、石に刻まれたたった数文字の戒名を解読するという無理難題を押し付けられる。なぜか仏教に詳しいクラスメートの「戒名探偵」外場薫の手を借りて、春馬は次々と謎を解き戒名を解読していく。キャラクター設定と仏教に関するストーリーがユニークで、とてもマッチしている。一風変わったミステリー小説を読みたい方にお勧めだ。(P.N テノリヒメ・2年)
さくら坂
千葉朋代著(小峰書店、1400円)
◆生きるための選択
放送部所属の上原美結は部長の推薦で放送コンテストに出ることになり、GW返上で練習に励んでいた。そんな時、突然右膝に激痛が走り階段から転倒した。運ばれた病院で骨肉腫と診断され、右足を切断しなくてはならないと告げられる。心が乱れ友人関係が曖昧になる中、美結が取る選択は…。自分がいつ彼女と同じ立場になるか分からない不安な気持ちがこみ上げ、当たり前に体が動くことの大切さを知った。真摯(しんし)な気持ちで読める一冊。(野間旭媛さん・2年)
スタートライン
喜多川泰著(ディスカヴァー・トゥエンティワン、1400円)
◆背中を押される本
転校生の長森真苗に心を奪われた伊福大祐。大祐と真苗それぞれの視点で物語が展開し、2人の気持ちのすれ違いに思わず入り込んでしまう。恋愛ストーリーの中に、これから人生を歩んでいく自分たちにとって大切なメッセージがちりばめられ、読み終わった後も心に残る。この本は、今をスタートラインとして気持ちを切り替え、自分の目標や夢に向かって一歩を踏み出すきっかけに最適な一冊だ。(山下雄太郎君・2年)
Re:ゼロから始める異世界生活
長月達平著(KADOKAWA MF文庫J、580~600円)
◆必ず君を救ってみせる
平凡な高校生ナツキスバルは、コンビニ帰りに突如異世界へと召喚されてしまう。死ぬと時間を巻き戻す唯一の能力「死に戻り」を手にした彼は、試練に立ち向かい、そのたびに成長していく。「死に戻り」以外の能力を一切持たないスバルは、何度も死んでいくうちに心が折れてしまいそうになるが、それでも立ち上がり運命にあらがっていく。その姿に心打たれ、ストーリーに手に汗を握りながら応援したくなる物語だ。(P.N むつお・2年)
※価格はすべて税込み