大学の学費や学生生活にかかる費用の負担を軽減させる奨学金。制度がどんどん変わっているため、正しい最新の情報を得ることが大切だ。ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに、知っておきたい奨学金に関する基礎知識や最新情報を教えてもらった。(中田宗孝)

Q.返済の目安はどのように立てればよいでしょうか。

A.初任給の手取り額は少ない。月2万円が目安。それ以上はキツイ。

月1.5万~2万円が奨学金返済の一つの目安の額になります。アルバイトでも十分に稼げそうな金額なので、無理なく返済できそうと思いがちですが、この目安額でも返済は、決して楽ではありません。

 例えば、大学卒業後に就職をして初任給が月額約20万円だとします。額面は20万ですが、税金や社会保険料などが給料から引かれ、実際の手取り額は約17万円。そこから、だいたいですが、家賃6万、食費4万、電気・ガス・水道の公共料金2万、スマートフォンやインターネットの通信費1万……とかかります。この時点で残金は4万円。自由に使える4万円を、遊興費にあてたり貯金にまわしたりすると、残高は限りなくゼロに近くなるのではないでしょうか。

さらに、社会人2年目からは住民税の支払い義務も生じます。そんな金銭事情の中、奨学金の返済をしていかなくてはならないのです。大学を卒業して半年後から始まる奨学金の返済までに、自分の収支をしっかり確立して、月々の返済金を確保していきましょう。

第二種は利子の返済もある

また、貸与型の第二種奨学金をもらっていた人は、奨学金総額に利子を追加して支払うことを忘れてはいけません。どのくらいの利子が付くのかは、奨学金の支給が終わった時に決まり、その利率は毎月変動します。利率の算定方法には「利率固定方式」と「利率見直し方式」の二つがあります。

利率固定方式は、市場金利が変動しても関係なく、奨学金の支給を終えた時に決定した利率が返還完了まで適用されます。

利率見直し方式は、奨学金の支給を終えた時に決定した利率を、おおむね5年ごとに見直します。もしも将来、市場金利が大きく変動した場合、それに伴って利率も変わっていくのです。

参考までに、2017年3月に貸与型の第二種奨学金の支給を終えた人の利率は、利率固定方式が0.33%、利率見直し方式が0.01%でした。利率見直し方式のほうが低くなっています。

貸与型の第二種奨学金の申込時に、利率固定方式と利率見直し方式のどちらか一方を選択するのですが、大学在学中に「変更可能」なので安心してください。大学4年生の就職先が決まったタイミングなどで、利率固定にするか利率見直しにするか、もう一度検討しましょう。

 

竹下さくらさん(フィナンシャルプランナー)

たけした・さくら 慶應義塾大学商学部保険学専攻。卒業後、保険会社勤務を経て、フィナンシャルプランナーに。コンサルティング、講演活動を行う。著書「『奨学金』を借りる前にゼッタイ読んでおく本」(青春出版社)など