モデルやタレントのすらっとしたスタイルに憧れ、やせたいと考える高校生は少なくない。ダイエットは本当に必要なのか。肥満外来の専門医・左藤桂子先生に聞いた。

ダイエットは基本不要

高校生は成長の過程にある。幼児体形が残っていたり、身長が伸びていたりするなら、ダイエットはまだ早い。身長が1年以上伸びていないことを確認してからにしよう。

ただし、ダイエットをした方が良い高校生は、健康診断で体脂肪率などのデータに異常があり、医師などに体重を減らすよう指導された場合のみだ。「特に近親者が太っていたり、生活習慣病だったりする場合は、自分自身もそうした体質である可能性があります。代謝内科を受診した方が良いこともあるでしょう」

ダイエットは「健康でない」人がするもの。高校時代は、健康な体の基盤を作るべきときだ。骨は18歳までしか作られない。将来、骨粗しょう症になるのを防ぐためには、18歳までにどれだけ体を作ったかにかかってくる。さらに女性は、ある程度の脂肪をためておく必要がある。

「健康な体の基盤は、大人になってから作り直そうと思っても難しい。今がチャンスだと声を大にして言いたいです」

元気に動ける体形に

若いうちはダイエットするのではなく、幸せになれる「自分サイズ」を見つけることを左藤先生は勧める。親きょうだいや親戚を見ると、「遺伝的に持って生まれた体形」が分かる。それをベースにして、「パフォーマンスの上がる体」を作ることが大切だ。

「朝起きて1日元気に動ける」「勉強したことがすっと頭に入ってくる」「ちょっとやそっとのことでは落ち込まない」……そんな体と心にするための生活習慣を身につけたい。

質の良い睡眠をとろう

具体的な方法は、「食べ過ぎを防ぐ」「適度な運動をする」「十分に休む」などで、中でも食事のバランスがもっとも重要だ。朝食ではタンパク質と質の良い油、ビタミン、ミネラルをしっかり取ること。代謝アップとデトックスのため、1日2リットル水を飲むこともおすすめだ。また、質の良い睡眠を取ると、一晩に300キロカロリー分の脂肪が燃える。しっかり眠ることも大切だ。寝る前3時間は何も食べないようにしよう。「元気でいられるだけでなく、結果的に体が締まります」 (野口涼)

 
 

左藤桂子先生
(佐藤桂子ヘルスプロモーション研究所)

さとう・けいこ  30年で3万人の肥満治療をした肥満外来専門医。著書に『ダイエット専門医の一生太らない食べ方』『痩せるための睡眠と食事 25の秘訣』など。