政府は4月1日、「平成」に代わる新元号を「令和」と定めた。皇太子さまが新天皇に即位した5月1日午前0時に改元された。出典は現存する最古の歌集「万葉集」で、これまで元号の典拠としてきた中国古典でなく国書(日本古典)から採用されたのは確認できる限り初めてという。
学研新漢和大辞典によると、「令」には「神のお告げ」「上位者のいいつけ」「おきて」のほか「清らかで美しい」の意味がある。「和」は「まるくまとまった状態」のほか日本のことも指す。
改元は天皇一代に一つの元号とする「一世一元」制が採用された明治以降、天皇逝去に伴う皇位継承の際に行われてきた。今回は退位特例法に基づき、逝去によらない改元で、皇位継承前の新元号公表は憲政史上初となった。
令和は「大化」(645年)から数えて248番目の元号。制定手続きは平成改元時を踏襲し、候補名の考案を依頼する専門家数人を国文学、漢文学、日本史学、東洋史学の分野から選んだ。政府が4月1日に改元を定めた政令を閣議決定する前にはノーベル賞受賞者の山中伸弥・京大教授ら有識者9人による懇談会を開いて意見を聴いた。
決定過程公表は30年後
政府は元号の決定過程に関する公文書を30年間は非公開とし、考案者も公表しない。ただ、関係者によると、有識者や閣僚会議で示された原案は令和のほか、英弘(えいこう)、久化(きゅうか)、広至(こうし)、万和(ばんな)、万保(ばんぽう)があった。また令和考案者は日本古典を専門とする国際日本文化研究センター名誉教授の中西進氏(89)との見方が浮上しているが、中西氏は否定している。