【強さのヒミツ66】兵庫・滝川第二 男子サッカー部

滝川第二(兵庫)男子サッカー部は、岡崎慎司(英・レスター)をはじめ、多くのプロサッカー選手を輩出している。「ゴールに直結するプレー」を念頭に、攻守の切り替えが速いスタイルを築いてきた。日々の徹底した対人練習の中で、判断スピードを磨いている。 (文・写真 白井邦彦)

常に実践を想定

副キャプテンでFWの片山大地(3年)は「対人練習の多さは、兵庫県内でも負けない」と言う。取材当日は、変則的な練習メニューだったとはいえ、3対3、紅白戦と対人系のメニューが2つ入っていた。「今年3月に人工芝グラウンドが完成し、足元の技術を磨く練習も増えたけれど、メインはやっぱり対人練習。まず1対1で勝てないと試合には勝てないという考えがあるからです」(片山)

シュート練習でも、ディフェンスを1人つけて相手を交わしてからシュートを放つなど、常に実戦を想定した中で行われる。守備面でも1対1に負けないのが大きなテーマで、対人練習を通して攻守一体の体現を目指している。

気持ち折れる練習

純粋に1対1でボールを奪い合う練習や、攻撃の方向性をつけて行う2対2など、バリエーションが豊か。中でも選手たちが「きつ過ぎ」と口をそろえるのが「ダブルボックス」と呼ばれる3対3の練習だ。ペナルティーエリア2つ分(ダブルボックス)のスペースの中で、7分間ひたすらボールを奪い合い、最短距離でゴールを狙う。

チーム1の運動量を誇るボランチ大村陸人(3年)でさえ「気持ちが折れそうになる」という。「ボールを奪ったら速攻、奪われたら攻守の切り替え。それの繰り返し。体力面だけではなく、相手の動きを予測するなど頭も使うので、すごく疲労感があります」

センターバック眞古(しんこ) 大輔(2年)は「ディフェンダーは絶対にシュートを打たせてはいけない。パスを予測したり、体を早く寄せたり、厳しく当たったり。ダブルボックスで、その感覚を磨けると思う」と話す。

対人練習に集中できるように時間を使う。選手たちがそろう全体練習では実戦的な対人練習を行い、技術や体力などの個々の課題は朝練などの自主練習で磨いている。

ダブルボックス

ペナルティーエリア2つ分のピッチで行う3 対3(GK別)。FW、MF、DFで3人組を作り、攻守の切り替え速度を高めるのが狙い。

 

シュート練習

その時々によって行う課題練習の一つ。新チームの今の課題はシュート力。この日は4種のシュート練習を行っていた。

 

自体重トレ

バーベルなどを使った筋トレは行わず。個々に合わせた体をつくるためにウエートトレーニングは自体重メニューのみ。

 

平日の練習の流れ

   15:00
ウオーミングアップ、自体重トレ、ストレッチ
   15:20
ブラジル体操
   15:30
技術練習、1 対1、2対2
   16:00
課題練習(シュートなど)
   16:15
ダブルボックス
   16:30
紅白戦
   16:50
補強&ダウン
   17:00
終了
 
【TEAM DATA】
1984年創部。部員50人(3年生22人、2年生26人、マネジャー2人)。2010年度 第89回 全国高校サッカー選手権大会優勝、06年全日本ユース(U-18)選手権優勝、10年インターハイ準優勝など。OBには岡崎慎司、金崎夢生、加地亮など日本代表経験者多数。