東京大学は2月13日、導入して4年目となる2019年度推薦入試の合格者を決めた。10学部で100人程度を募集したのに対し、185人が志願し、書類による第1次選考を127人が通過。最終合格者は66人だった。導入から4年連続で合格者数が募集人数に達しなかった。(西健太郎)

合格者の4割が女子

合格者のうち女子が28人(42.4%)と、一般入試の女子の割合(例年2割程度)より高かった。また、関東以外の合格者が37人(56.1)%を占め、一般入試(4割程度)より高い割合だった。高校既卒の合格者は4人だった。

医学部医学科は5人志願し4人合格

学部や年度ごとに志願倍率や合格率にばらつきがある。今回は、医学部医学科(3人程度募集)は、志願者5人のうち4人が合格した。一方、薬学部(5人程度募集)は9人が志願し、1人しか合格しなかった。経済学部(10人程度募集)は、志願者が2人にとどまり、合格者は1人だった。

合格者数は初年度(2016年度)の77人から年々減り、今回は最も少なかった。推薦入試の合格者が募集人数に満たなかった分は、一般入試の合格者を増やして対応する。

今回推薦があった高校数は165校。これまで16年度151校、17年度159校、18年度155校と推移しており、毎年入れ替わりがあるという。東大は、1校から推薦できるのは男女1人ずつまでと決めている。

2019年度東大推薦入試の結果を発表する東大幹部ら(2月13日、東京大学本郷キャンパス)

「とんがっていていい」メッセージ伝えたい

東大は推薦入試の狙いを「特定の分野や活動に関する卓越した能力、もしくは極めて強い関心や学ぶ意欲を持つ志願者を求める」と説明する。志願者が伸び悩んでいることについて武田洋幸・推薦入試委員長(理学部長)は「複合的な要因があるが、私たちの求める学生像が高校側に十分伝わっているのか、検討課題として残っている。推薦入試で(入学者に)望んでいるのは多様性、卓越性、潜在性だが、卓越性だけが受け取られているのではないか。全体の意図が伝わる募集要項、広報になるよう議論している」と話した。

福田裕穂・入試担当理事は「(推薦入試を通じ)『とんがっていていい』というメッセージを出すことは大事。これまでは『みんな同じに』という教育だった。『小さいときからとんがっていていいよ』という教育になれば、100人でも足りなくなる。今は高校の現状を理解して、よりよいメッセージを出すことが必要」と語った。

推薦入試の選考は実質的に学部ごとに行っている。志願理由書や面接などの結果を総合して選抜し、センター試験の結果(おおむね8割程度の得点が必要)もふまえて合格者を決めた。

6つの科類別に募集する一般入試と異なり、一般入試で入学した学生は、2年生の途中に3年生から進学する学部が決まるが、推薦入試の合格者は、入学時に進学学部が決まる。1・2年生の間はほかの学生と同様、教養学部で学ぶが、進学予定学部の教員による指導や支援も受けられる。

【2019年度東大推薦入試 学部ごとの合格者数】

※学部名の後のカッコ内が募集人数。合格者数の後のカッコ内は志願者数

法学部(10人程度募集) 10人合格(22人志願)

経済学部(10人程度) 1人合格(2人志願)

文学部(10人程度) 3人合格(8人志願)

教育学部(5人程度) 8人合格(24人志願)

教養学部(5人程度) 4人合格(23人志願)

工学部(30人程度) 22人合格(48人志願)

理学部(10人程度) 9人合格(32人志願)

農学部(10人程度) 4人合格(11人志願)

薬学部(5人程度) 1人合格(9人志願)

医学部医学科(3人程度) 4人合格(5人志願)

医学部健康総合科学科(2人程度) 合格者なし(1人志願)

合計(100人程度) 66人合格(185人志願)

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