3月の全国高校選抜大会で初優勝し、昨夏の全国高校総体(インターハイ)との「団体2冠」を、創部わずか2年目で果たした日本体育大学柏高校レスリング部。部員の個性が強いゆえに、部の発足当初はチームがまとまらなかった。しかし、時間の経過とともに団結力を高め、日本一へと上り詰めた。 (文・写真 小野哲史)
部員は個性派ぞろい
霞ヶ浦(茨城)高校でインターハイと全国高校選抜の団体優勝を計43回果たした名将・大澤友博氏が、2015年春に監督に就任。主将の井筒勇人君と山口海輝君(ともに3年)は「小学校のころから霞ヶ浦に出げいこに行っていて強くなれた。高校でも大澤監督の指導を受けたかった」と、いずれも和歌山から入学してきた。
1年生だけで始動した部だったが、部員は中学のころから全国区で活躍してきた選手ばかり。山口君は「それぞれプライドが高く、試合形式のスパーリングも、負けるのが嫌でまともにやってもらえない時期もありました」と当時を振り返る。
話し合い一致団結
それでも寮生活を含め、多くの時間を共有することで部員同士の結束力は徐々に高まった。昨夏のインターハイでは、大会初日の夜に選手間でミーティングをしたこともチームの絆をさらに強くし、初の全国制覇に結びついた。
「サポート側はもっと声を出し、試合に出る者は全力で戦い抜こう、と話し合いました。そこで初めてチームが一致団結できた気がします」(井筒君)
連覇目指す
夏の王者として迎えた全国高校選抜。3年生が抜ける多くのチームと違い、世代交代がなかった同校は、初戦の2回戦と3回戦は7-0、準々決勝から決勝までは6-1と危なげなく勝ち上がり、初の栄冠をつかみ取った。山口君は「相手に研究され、なかなかポイントが取れず、満足できる内容ではありませんでした」と話すが、その課題は高校最後のシーズン、そして3年後の東京五輪出場へ向けたモチベーションに変えている。
井筒君も「自分たちにとっては夏のインターハイが高校生活最後の試合。確実に連覇を果たし、良い流れで後輩たちにこれからの部を任せたい」と意気込む。意識の高い選手たちが刺激し合いながら、同校の黄金時代をつくっていくつもりだ。