昨年、リオデジャネイロ五輪の競泳・リレーに出場した持田早智さん(千葉商科大学付属高校3年、ルネサンス幕張所属)。五輪では不本意な成績に終わったが、挫折を乗り越え、今年4月にあった競泳の日本選手権では、自由形で夏の世界選手権の代表候補に選出された。 (文・田坂友暁、写真・中村博之)

リオは苦い思い出に

「とても良い経験だった」と笑って話せるはずだった。しかし、初めて出場した五輪という大舞台は苦い思い出に変わってしまった。昨年の日本選手権の200㍍自由形で3位に入り、800㍍リレーのリオ五輪代表となった。しかし、本番では調子が上がらず、自己ベストとはほど遠いタイムでしか泳ぐことができなかった。

本来はとても明るい性格で、どんなときでも笑顔を絶やさないが、五輪後のインターハイや岩手国体で見せた表情は暗く、インタビュー中に涙を浮かべることも少なくなかった。

「専門外」への挑戦で復活

落ち込んでいる時に、高校水泳部の先輩でもある西崎勇コーチが「水泳を楽しむことだけ考えなさい」と声を掛けてくれた。この言葉で、少しずつ本来の自分を取り戻していった。さらに気持ちを切り替える大きなきっかけとなったのは、バタフライに取り組んだことだった。

「レースに出たこともなかったバタフライでしたが、チームメートにフォームの相談をされたことをきっかけに、すごく研究しました」

すると、自然と自分のバタフライのフォームも良くなっていった。試しに出場したレースでは、大ベストが出た。「そこからバタフライが大好きになりました」という。

それが専門の自由形にも良い影響を与え、徐々に自分の泳ぎを取り戻していった。結果、4月の日本選手権では、200㍍自由形で5位に入り、世界選手権800㍍リレーの代表候補に選出。さらに200㍍バタフライでも3位になった。

リオ五輪での挫折を乗り越え、東京五輪に向けて新しい道を進もうとしている。