鹿屋高校(鹿児島)インターアクト部17人が、9月の文化祭で地元に代々伝わる神楽舞「刀舞(かっなめ)」を披露した。同部は地域のボランティア活動が主体。今年度から顧問の先生の提案で、刀舞の保存継承活動に取り組み始めた。
部員の洲鎌有登(すがまゆうと)君(1年)は、演目中に万葉和歌の朗詠をする唄方(うたかた)の担当となった。唄方に決まった後、亡き曽祖父が刀舞の唄方を約40年間務めていた事実を知り、驚いた。「祖母から、熱心に唄方に取り組んでいたと聞きました。僕は曽祖父が唄方をする姿を知りませんが、不思議な縁を感じました」
文化祭で神楽舞を披露
部員たちは、9月から週3回のペースで刀舞の練習に励んだ。刀舞は、刀や弓を振りかざした舞人たちが、五穀豊穣(ほうじょう)の祈りを込めて優雅に演舞する。演目中には、神様や鬼の面をかぶった舞人による勇壮な舞も組み込まれている。洲鎌君は「当初は声に張りがなく、唄の中で言葉の強弱をつけるタイミングもずれていた」という。刀舞の指導者から「抑揚をつけてうたうように」と指摘を受け、自宅でも練習した。
本番では太鼓の音に合わせて、唄方の洲鎌君が「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき」と、かるたの読み手のような口調でうたい上げた。大舞台の緊張を力に変えた。「しっかり声を出せました。曽祖父と同じ唄方を務めたことが誇らしい」。演目を観賞した祖母からは「上手だった」と言葉をもらった。同部は今後も刀舞の継承活動を続けるという。 ( 中田宗孝)