12月27日から1月7日まで大阪・近鉄花園ラグビー場で開催された第93回全国高校ラグビー大会(花園)。メディアやファンの注目を一身に集めたのが、ベスト8に入った報徳学園(兵庫)の超高校級CTB梶村祐介(3年)=兵庫・天王寺川中出身=だ。
(文・写真 斉藤健仁)

日本代表合宿に参加

梶村は昨年9月と10月にあったラグビーの日本代表合宿に、高校生ながら唯一招集された逸材。

幼稚園でラグビーを始め、小学校まで水泳もしていたが「ラグビーの方が向いている」と、中学校から楕円球を追うことに専念。地元の伊丹ラグビースクール時代からの友人、ナンバー8前田剛主将(3年)=同・長尾中出身=とともに報徳学園に進学した。

 

昨年度の花園は3回戦で敗退。今年度は「FWも大きいチームなので、日本一を狙っています!」と全国大会に向けて練習に精を出していた。そして昨年9月、日本代表合宿の参加メンバーに選ばれたことを知る。「ビックリして言葉が出なかった。監督に授業前に言われたので勉強が手に付かなかった(笑)」

その前兆は昨年8月にあった。梶村は台湾で行われたU19アジア選手権のメンバーに選出され、大学生に交じって3試合に先発出場。持ち前の突破力で3トライを挙げた。実は、一昨年の春に左肩を脱臼したことをきっかけに、1年間、練習後などにウエートトレーニングを個人的に行っていた。それが功を奏した。現在、ベンチプレスは最高130㌔。ラダートレーニングなども欠かさず、「走るスピードを落とさずに、体重を83㌔から96㌔に増やすことができました」。

優勝逃すも悔いなし

迎えた花園。1回戦はシードされ、初戦となる2回戦で黒沢尻北(岩手)と戦った。梶村はマークされながらもパスやキックでチャンスをつくり、自身の1トライを含む4トライに絡む活躍を見せた。

3回戦は石見智翠館(島根)に苦戦し、20-20の同点ながらトライ数の差でベスト8に進出した。

準々決勝では、今大会優勝することになる東海大仰星(大阪)に前半こそ2トライを先制して善戦したが、17-66で敗れた。副将としてチームを16年ぶりのベスト8に導いた梶村は「日本一になれなかったことは悔しいですが、満員の中でプレーできて楽しかった。花園に2回出場できたことは良い思い出となりました」と振り返った。

4月からは、前田とともにラグビーの強豪・明治大に進学する予定だ。「次のステージこそ優勝を目指したい」という梶村の顔に涙はなく、3年間の部活動をやり切ったすがすがしい表情だった。

かじむら・ゆうすけ
1995年9月1日生まれ。今年度の高校日本代表候補。U19メンバー。昨年9、10月には日本代表候補の強化合宿に招集される。180㌢、96㌔。