ツバルの子どもたちと三吉君(中央)

三吉康貴君(東京・かえつ有明高校2年)は、高校入学早々に交通事故に遭い、幼いころから続けてきたサッカーを断念した。情熱の全てをサッカーに注いでいたため、心の傷は深かった。「サッカーを取り上げられたら(自分は)何もない人間だなって。そんな自分が嫌になった時期もあった」

小学生にごみ問題の授業

ある日、授業で、オーストラリアの北東に位置する島国ツバルが地球温暖化に伴う海面上昇の影響を受け、遠くない未来に水没する恐れがあると知り、関心を抱いた。詳しく調べて分かった、陽気な国民性にも強く引かれた。「(サッカーを諦めて)ゼロになった自分。ですが、逆転の発想で、ゼロだからこそいろいろな挑戦ができるはず。興味を持ったツバルを訪れてみたいと思いました」

同級生の魚谷旬平君、徳永駿君(ともに2年)を誘い、ツバル行きのプロジェクトを発足。クラウドファンディングで渡航費を募り、目標額を達成。7月末から1カ月間、ツバル滞在を果たした。

首相に会うことができた3人

ツバルでは、3人の直談判が実り、小学生を相手に同国の抱えるごみ問題に関する授業を行った。また、同国のエネレ・ソポアンガ首相と会うことができた。「自慢は明るい国民たち」という首相の言葉に感銘を受けた。「ツバルの人たちのように今を全力で楽しみたい」と、帰国後の内面の変化を語る。「自分の世界が大きく広がりました。サッカーができないことへの後悔もないです」

ツバルの子どもたちに授業をした