日本のエネルギー政策の枠組みを決める「エネルギー基本計画」を政府が4年ぶりに改定した。太陽光や風力など再生可能エネルギーを「主力電源化」すると明記。発電に占める割合を2016年度の14.5%から30年度には22~24%にする目標に向けて政策を結集する。
欧州に比べ出遅れる日本
再生エネを主力電源と位置づけたのが特徴で、東京電力ホールディングスは千葉県銚子沖で洋上風力発電を計画、関西電力は福岡県にバイオマス発電所を建設する。原子力発電と火力発電に依存した電源構成からの脱却を目指すが、欧州諸国などは既に再生エネに巨額の開発費を投入している。各国で爆発的に普及が進んでいる現状を考えると、日本の出遅れは否めない。
「原発増設」には触れず
一方、原発への依存度を可能な限り低減させるが、安定したエネルギー供給に寄与する「ベースロード電源」との位置づけは変えず、発電割合も20~22%に据え置いている。
また、原発の発電割合20~22%を実現するためには30基程度の稼働が必要とされ、老朽化した原発の廃炉を考慮すれば増設が求められることになる。しかし、根強い脱原発の世論を気遣ったのか、政府は明確な説明をしていない。
プルトニウム削減も課題
基本計画では、原発の使用済み核燃料から取り出すプルトニウムを「保有量の削減に取り組む」と明示した。日本が国内外に保有するプルトニウムは約47トン、核兵器6千発分に相当するとされ、大量保有に懸念を示す米国に配慮した形だが、削減に向けた具体的な工程は示されなかった。
【memo】エネルギー基本計画 日本の中長期のエネルギー政策の指針。2003年に初めて策定し、見直しの際には閣議決定する。東京電力福島第1原発事故後に最初の改定となった14年は、原発を「ベースロード電源」と明記、原発再稼働を方向付けた。