高校入学直前に歌手デビューを飾った牛島隆太君。「高校生シンガー」としての華々しい日が続くかに見えたが、思いもよらぬ活動休止が待っていた。歌手として、高校生としての悩みを乗り越え、昨春に「復活」。3月8日、高校生活の集大成となる卒業ソングをリリースする。(文・写真 中田宗孝)

テレビのオーディション番組への出演をきっかけにデビューし、2010年3月に発表したシングルは2万枚を売り上げた。その後、順調に高校生活と歌手活動を両立させていたが、高校2年に進級後、歌手活動を休むことを自ら決めた。

「18歳までにこうなりたい、という目標を持って高校生になりましたが、それと現実の自分との差が埋められず、頭の整理がつかなくなっていました」。友人関係、勉強など全てがうまくいかず、「自信のない時期」が続いた。 自分を見つめ直すため、奮闘が始まった。「それからは、勉強に励んだり、吹奏楽部の練習に精を出したり充実した高校生活を過ごせるようになりました。ギクシャクした友だちとも信頼関係を取り戻して……」。相談に乗ってくれた友人から「感謝の気持ちを忘れずにいれば周りの人はついてくるよ」と、言葉を掛けてもらい心に響いた。「それまで、いかに周りを見ずに音楽だけやってきたか」と気づいた。

精神的にも大きく成長し、高校3年進級後、歌手活動を再スタートさせた。3月にリリースするシングル「スマイル-あの教室から-」は作詞にも挑戦した。「中学卒業からの心境の変化を歌いました。高校生には共感して聴いてもらえるはずです」

活動休止中に離れたファンもいる。「正直、甘くはなかった」が、高校入学時に決めた「学校生活をちゃんとやる」という目標は達成できた。「休んだ1年間は無駄でなかった」と思う。4月からは、大学で中国語を学びながら歌手活動を続ける。将来の中国デビューも視野に入れた選択だ。

うしじま・りゅうた・1 9 9 4 年4 月17 日生まれ、東京都出身。中学2年時に出演したオーディション番組「歌スタ!!」で注目され、2010 年にシングル「フレンズ-君の記憶のなかの僕-」でデビュー。12 年12 月「SnowMagic」を配信リリース。