ヒロインの白雪は、自国のワガママ王子のせいで隣国のクラリネス王国に逃げることに。白雪は、クラリネス王国第2王子のゼンやゼンの側近を頼りにしつつも、自らが宮廷薬剤師となることでゼンとの未来を切り開いていく。身分の高くない白雪を良しとしない刺客が現れたり、ゼンと離れ離れになったり……とハラハラする。
魅力は、ファンタジーでありながら、世界観がとても練りこまれている点だ。例えば、薬草。この作品の世界の薬剤師は薬草を治療に利用する。もちろん薬剤師である白雪も薬草に精通している。薬草は一つ一つに名前がついている。また、白雪が宮廷薬剤師になるため薬草園で3日間過ごす試験を受けた際、似ている薬草が原因となり水路に毒素が混ざった場面がある。このときも似ている薬草がちゃんと説明がされている。
王国という優雅な響きや、それぞれのキャラクターが持つ個性的でありつつも優しい雰囲気は、読者を一気に作中の世界観に引き込ませる。 (P.N ゆき)