人口減は過去最大

2017年に国内で生まれた赤ちゃんの数(出生数)は、統計開始以来で最少の94万6060人だった。2年連続で100万人を割り込み、政府の子育て支援政策など少子化対策が効果を上げていない現状が浮き彫りになった。

厚生労働省の人口動態調査(概数)によると、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は前年比0.01ポイント減の1.43と2年連続で低下、人口維持に必要な2.07にはるかに及ばなかった。死亡数から出生数を引いた人口の自然減は39万4373人と過去最大の減少幅だった。都道府県ごとの合計特殊出生率は沖縄の1.94が最も高く、宮崎1.73、島根1.72。最も低かったのは東京の1.21で、出生数が死亡数を上回ったのは沖縄だけだった。

出生率の目標達成厳しく

安倍政権は「25年度末までに出生率1.8」「60年に人口1億人程度を維持」との目標を掲げているが、達成は厳しい状況だ。政権は少子化対策の柱の一つとして「幼児教育・保育の無償化」を挙げるが、その受け皿そのものが不足。また、非正規労働者の割合が増えて雇用が不安定化していることも、晩婚・晩産化に影響しているとされる。

厚労省の担当者は「20~30代の女性が減っているため、すぐに出生数を増やすことは難しい。女性が不安を持たずに出産できるような支援を充実させる必要がある」としている。

子育てをしながら働くことができる労働環境の整備や、地域全体で子育て世帯を見守ることができるような社会環境の醸成が必要だ。