「自分がしっかりしないとチームもしっかりしない」と強い責任感を持ってプレーする根尾

 4月に史上3校目となるセンバツ連覇を果たした大阪桐蔭(大阪)硬式野球部。100回目の記念大会となる今夏の全国高校選手権は、史上初となる2度目の春夏連覇が懸かる。プロも注目する選手と、センバツ後に台頭してきた新戦力が競い合うことでレベル向上を図り、栄冠に挑む。 (文・写真 木和田志乃)

毎試合テーマを決める

今春のセンバツ優勝後は、主力選手のけがなどのために出場メンバーの変更があったが、それまで目立たなかった選手たちが活躍するようになった。

大阪桐蔭の選手層の厚さを物語っているが、投打でチームをけん引する根尾昴(3年)の評価は厳しい。「センバツの時と比較すると、チームとしての連携不足や、甘い球の打ち損じ、取れるフライを落とす、という技術的な隙もあった。個人的にも足を引っ張った部分も多い」

内野手の中川卓也(3年)も言う。「毎試合『粘り強く戦う』のようなテーマを決めて臨んでも、うまくいかないと苦しい展開になることが多かった。まだまだ力不足で、課題だらけのチームだと思う」

しかし「夏、日本一になるために選手全員で厳しいポジション競争をして、技術面から体力面から全てにおいて全員のレベルアップをしていきたい」と気合は十分だ。

大きな声でチームメイトを鼓舞する中川

「全員キャプテン」の心意気

同部は、中川がキャプテン、根尾が副キャプテンを務める。「キャプテンの中川がやるべきことがやっぱり多い。中川に何もさせないぐらい動こうと心掛けている」という根尾は、中川にとって「いつも組織のリーダーとして発言していて頼りになる」存在だ。

また、3年生は全員、普段から自分がキャプテンのつもりでチームをまとめる意識を持って行動するようにしており、これが結束力を生んでいるという。

チーム内の競争と結束力に加え、6月初旬に終わった春季大会以降は過密日程で練習試合を行い、スタミナや精神面の強化を図った。「甲子園の春夏連覇を目標にしている。一戦一戦勉強して成長していき、まずは夏の北大阪大会を勝ち切れるように頑張りたい」(根尾)

 
【TEAM DATA】1988年創部。部員64人(3年生21人、2年生20人、1年生23人)。甲子園出場は春夏合わせて17回、優勝6回(春2回、夏4回)。OBには中田翔(北海道日本ハムファイターズ)や森友哉(埼玉西武ライオンズ)らがいる。