テレビや雑誌に登場する、スリムなモデルや芸能人を見て「やせたい!」と思ったことはないだろうか? 「シンデレラ体重」という言葉が広がるなど、「とにかくやせたい」という願望にとらわれがちな人が多い理由を、日本摂食障害協会の理事を務める内科医の鈴木眞理先生(政策研究大学院大学教授)に聞いた。(青木美帆)

マスメディアがやせ過ぎを賞賛

少し前のデータにはなりますが、2013年における20代女性の1日の平均摂取エネルギーは1628キロカロリー。これは第二次世界大戦直後を下回る驚くべき数値でした。

マスメディアも「やせ過ぎ」を賞賛して、「やせたら幸せになれる」と思い込ませています。タレントや歌手も細い人ばかりですし、雑誌ではさらに体形を細くするデジタル加工が施されていることがあります。何かに挫折したり悩んだりした女の子が、スポットライトを浴びてキラキラした彼女たちを見たらどう思いますか? 「私もやせたら幸せになれる!」と思い、極端なダイエットに飛びつくのは仕方がないことです。

フランスではやせすぎたモデルを載せると罰金

フランスでは雑誌や広告でモデルをデジタル加工することは法律で規制されており、BMI18.5以下のモデルを使ったら罰金になる法律もあります。一方で日本では、社会全体が「やせること」を野放しにしています。例えば国際的に定められた標準体重より少ない体重を理想とする「シンデレラ体重」という言葉が広まるなど、日本の文化背景が「やせ」を後押ししてしまっているのです。そのため、やせることにとらわれる女性が多いのだと思います。

 
鈴木眞理先生
内科医。政策研究大学院大学教授。
日本摂食障害協会の理事を務める。