各自が作った原稿をみんなで読み合い、意見交換を重ねながら、より良い内容に仕上げていく

千葉県内でトップクラスの実力を誇り、全国大会にもたびたび出場している敬愛学園高校弁論部。自分の主張を伝え、聞く人の心を動かす弁論を目指し、部員同士で切磋琢磨(せっさたくま)している。(文・写真 小野哲史)

目の前に鏡を置き練習

保坂幾乃さん(3年)は入学して間もないころ、部活見学で先輩の説得力ある弁論を聞いて、くぎ付けになったことをきっかけに弁論部に入部した。約2年間の活動を通して、「社会に目を向けることの大切さを学んだ」という。

部の主な活動は、年に数回ある主要大会に向けて原稿を作り、それを部員の前で話すこと。待機児童や食品廃棄など、身近な問題を主なテーマとする。福島健輔君(2年)は「日常の中で感じたことを紙に書いて原稿作りのヒントにしている」と話す。

長年、部を見てきた内田栄子先生の指導のもと、日頃から滑舌や発声のトレーニングはもちろん、目の前に全身鏡を置いて話すなどの工夫を欠かさない。「言いたいことを強調したり、間を取ったりしながら、自分の感情を込めて話さなければいけないところが難しい」(田村奈子さん・2年)

「心動かす」視線も工夫

笹木未来さん(3年)は最初に出た大会のことが忘れられない。「伝わるだろう」と思った弁論が聞き手に意図と違って受け取られたのだ。それゆえに「互いの価値観の違いをどれだけすり合わせて、自分の主張を伝えられるかが弁論の面白さ」と話す。

部長の寺田有希君(3年)は弁論を「知的格闘技」と考えている。「弁論は、聞いている人の心を動かさないといけない。原稿をただ教科書のように読むのではなく、自分の意見を相手に届けるために、視線の配り方や姿勢、聞き手の巻き込み方も意識する必要がある」

思いと熱をぶつける

1月の県英語日本語弁論大会で、ボランティア活動を題材にした弁論で優勝した齋藤健人君(2年)は、次の舞台となる関東甲信越静岡ブロック大会でも「自分の思いや熱を日々の練習から出して、結果に結び付けたい」と力を込める。

「高校生活最後の大会になる8月の全国高校総合文化祭に向けて心血を注ぎたい」と意気込む寺田君
部活データ
部員6人(3年生3人、2年生3人、1年生は取材時未定)。週3回、放課後に練習。2016年、県高校弁論大会で寺田君が最優秀賞、保坂さんが基準弁論奨励賞。17年、全国高校決勝弁論大会団体の部優秀賞、県高校弁論大会で笹木さんが最優秀賞。寺田君が北朝鮮の人権問題をテーマに、8月の全国高校総合文化祭に出場する。