高校生記者が藤澤先生に研究者に向いている人が持つ力や、脳科学研究をしたい高校生へのアドバイスを聞いた。(聞き手 佐々木美悠・1年)

柔軟性や粘り強さが大切

――どんな人が研究者に向いていますか。

いろんなことに興味を持てる、柔軟な性格が研究者には向いています。時に研究者は、1つの実験結果に対して複数の仮説を立てていきます。導き出した仮説を一つ一つ正しいのか、間違っているのか、粘り強く論理的に突き詰めます。研究者には忍耐力も求められるのです。

また、研究はチームで行うことがあり、コミュニケーション能力も必要。自分とまったく性格の違う人とも親しくして、社交性を磨いておきましょう。

まずは理系の勉強に励もう

――将来、脳科学の研究をしたいと考える高校生にアドバイスを。

データや数値を解析する数学の知識、実験動物の行動や思考を推察する心理学の知識、実験で電気を使用することもあるので電気工学の知識も必要です。脳科学分野は、さまざまな学問から得る知識を組み合わせて研究に取り組んでいます。

脳科学に興味のある人は、まずは自分の興味ある理系分野の勉強に励むこと。そして自分の得た知識を脳の仕組みと絡めながら考える習慣を身につけておくと、本格的に脳科学の研究をする際に役立ちます。

【取材後記】
 お話を聞き、大切だと感じたことは2つあります。1つ目は、最初から視野を狭めずに学び続けていく姿勢を持つということです。
 藤澤先生は大学では脳科学ではなく工学を学んでいたと聞き、とても驚きました。「脳科学はさまざまな学問を組み合わせて成り立つ」と知り、「高校生の私たちは、まだ何にでもなれるんだ」ということを感じました。
 2つ目は「論理的思考」の大切さです。脳科学者を含め、研究者には論理的思考力と1つの仮説について諦めずに考え続ける力が必要だと聞きました。諦めずに考え続けることで、誰にも解けなかった謎が解けるのは素晴らしい。努力に勝る天才はいないと思うので、私もコツコツと努力を重ねようと思いました。