サッカー日本女子代表が、2011年女子W杯で劇的優勝を飾ってブームとなった。今年の全国高校総体(インターハイ)から女子サッカーが正式種目にもなるが、日本での女子の底辺は「まだまだ、男子のように広くはありません」と、大阪・大商学園女子サッカー部の竹内周部長(59)は指摘する。指導者数が少ないこと、環境が整わないなど、中学生女子サッカー選手が上を目指そうとしても、進路の選択肢の少なさなど、問題も待ち受ける。

そのような中で、大商学園にはこの春17人の1年生が入部。2年生13人、3年生11人と合わせてこれまでで最多の41人となった。2006年創部で、全日本高校女子サッカー選手権大会には08年の初出場から4年連続出場中。レベルの高さを維持するチームに、今年は高知、鳥取などからも好選手が入ってきた。

主将の傳早織(3年)=大阪・冠中出身=は、小学生のときは中村俊輔のフリーキックに魅せられ、サッカーどころ高槻市のスペランツァFCラガッツァで成長。今年は大商学園を引っ張る役になった。自身のプレーでは「ロングパスを得意にしたい」と言い、全体に目を向け「人数が増えた分、より注意を払って一つにまとめたい」と気を引き締めた。

逸材は多い。2年生の松原有沙=大阪・豊中十七中出身=は、昨年秋のU-16アジア選手権で優勝したメンバー。新入生で主力になってきそうな選手もいるようだ。

日体大出身で、大商学園男子サッカー部も全国選手権大会へ導き、フライングディスクを使った究極のスポーツといわれるアルティメットにも力を注いでいる竹内部長が大局的に指導、大阪教育大でFWとして活躍した岡久奨監督(26)が目を光らせる。田崎ペルーレのGKだった谷川みどりコーチ(32)らの力も大きい。

好敵手の一つに挙げられるのが大阪桐蔭女子サッカー部。昨年の大商学園は大阪桐蔭に負けなかったが、現チームは1敗。傳主将は「PK戦になって、私が外して負けました」と口にした。主将の心に、赤々とした火が付いていた。(文・写真 宇佐見英治)