タイヤを使い笑顔で練習する部員たち

大阪高校(大阪)和太鼓部は、練習で出る音で近隣住民に迷惑をかけないよう工夫を重ねている。平日のうち3日間、夕方5時から1時間しか太鼓を打てない。部長の岸本憲人君(3年)は「しかも、30分間は毛布をかぶせて、音ができるだけ出ないように練習しています」と苦しい状況を説明する。

ガムテープを巻いて

太鼓が使えない時間は音が出ないようタイヤをたたく。「試行錯誤し、一番良かったのがタイヤ。バチが黒くならないように布製ガムテープを巻いています」。体力や筋力をつけるため、ランニングや筋トレにも励んでいる。

音が大きく出ないよう工夫を凝らす部員たち

昨年は、練習場の講堂が耐震工事で使えなくなった。和太鼓は特に大きな音が出るため、学校ではタイヤを使う練習しかできない。加えて50人を超える部員が全員集まって練習できる場所がない。「全体での練習が困難な分、技術指導が十分にできず、チームをまとめる上でとても苦しい状況でした」と岸本君は振り返る。

太鼓の上にガムテープで巻いたタイヤを載せて練習

それでも部員の和太鼓への熱は冷めることなく、昨年9月に愛知県で行われた和太鼓のコンテストで初優勝し、大阪府高校芸術文化祭では4位になるなど、創部以来最高の結果を残すことができた。

「みんなと一緒に演奏する中で、自分の色が出せるように自分磨きをしています」(岸本君)。苦境に負けず、前向きに和太鼓に向き合っている。

部長の岸本君