八千代松陰(千葉)男子バスケットボール部は、1月の新人大会で初めて県大会を制し、関東大会でもベスト4に進出した。190センチを超える大型選手はいないが、速い展開とシュート力、そして抜群のチームワークを練習で磨き、夏冬連続の全国大会出場を狙っている。 (文・写真 青木美帆)

思ったことはすぐに言う

「はい‼」。パスを要求する大きな声が敵陣から自陣まで連なり、そのラインをボールがつながっていく。速攻練習で「声」を徹底することは、付属中学時代からの習慣だ。「中学の時は声が大きいサイドにパスを出すという練習だったので、今は自然に大きな声が出るようになりました」(松岡龍磨・3年)

試合中、フリースローなどで時間が止まるたびに集まって、言葉を交わす。「コミュニケーション」で一歩抜けたチームだ。付属中から一緒にプレーしてきた選手が多いこともあるが、それ以上に、練習中から声を出して情報を共有していることが大きい。

冒頭で紹介した速攻練習もその一つ。ほかにも、スムーズにメニューを移行するために、デジタイマーに合わせて全員でカウントダウンし、上級生たちは下級生にしきりに声を掛け、時にはプレーの誤りを堀田貴司監督より厳しく指摘する。「思ったことはすぐに言う」(工藤貴哉・3年)のが同部のスタイルだ。

身長差補うコンビプレー

コンビプレーの「合わせ」の練習にも注力。パスの受け手の動きに合わせて、一瞬のタイミングを逃すことなくパスを出す。スタメンの最長身は189㌢と全国の強豪に比べて高くない。相手の死角や反応速度をうまく利用したプレーをすることで、サイズのハンディがなく得点できる。

上背のある強豪に対抗するため、体づくりも重視している。週に3日はトレーニング日を設け、うち1日はほとんどボールに触らない。パイプ椅子を使って筋力トレーニングをする「イス筋」や、足元が不安定な砂浜で実施する「浜トレ」、選手たちが最も苦手とするフットワーク練習「ゴリラ」など名物メニューがめじろ押しだ。主将の磯脇佑真(3年)は「点差を広げて県を制覇したい」と意欲を燃やす。

イス筋

腕立て伏せ、腹筋・背筋運動にパイプ椅子を使うことで、より高い負荷をかけられる

コミュニケーション

相談したり、アドバイスしたり、ハッパを掛けたり、自由に声を出している

ジャンプシュート

サイズがないチームの生命線。フォーム、状況に応じた打ち方などを細かく指導される

練習の流れ

15:00  ウオーミングアップ
 15:05  リバウンド練習
 15:15  ドリブルペネトレイト
 15:25  三角パス
 15:30  シュート練習
 15:50  クイックパス
 15:55  1対1のディフェンス
 16:05  オールコート1対1
 16:45  3人の合わせ
 16:25  オールコート3対3の速攻
 16:40  ハーフコート3対3のディフェンス
 16:55  オールコート3対3
 17:50  ストレッチ
 18:00  練習終了

 
 
【TEAM DATA】
1978年創部。部員24人(3年生14人、2年生10人)。オフは水曜日。通常授業の日の練習時間は約2時間半。3年生は特に仲が良く、毎日全員で昼ご飯を食べるという。