高校で乱射、17人死亡
米南部フロリダ州の高校で2月中旬、男が銃を乱射し生徒ら17人が死亡、10人以上が負傷した。高校生や遺族による銃規制を求める運動が全米に広がる一方、規制に反対する有力ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」が猛烈なキャンペーンを展開、銃規制をめぐる米社会の分断が深まっている。
米国の多くの州では18歳で銃を購入することができ、銃乱射の容疑者(19)は合法的に
殺傷力の高いライフル銃を所持していた。事件を受けて、全米3千校以上の高校生ら18万人以上が、17人の犠牲者を悼んで授業を17分間ボイコット。路上などで銃規制を訴える座り込みや行進をした。
規制にライフル協会反発
事件後、フロリダ州では銃を購入できる最低年齢を21歳に引き上げ、安全対策のため一部の学校職員に条件付きで銃武装を認める州法が成立した。
同州で銃規制が強化されるのは20年以上ぶりとされるが、犯行に使用された殺傷能力の高いライフル銃の販売禁止は盛り込まれなかった。NRAは、銃を購入できる最低年齢引き上げが「国民の武装の権利を認めた憲法修正第2条に違反する」として連邦地裁に提訴している。
3億丁流通 年3万人犠牲
米国内では3億丁もの銃が出回り、銃による死者は年間3万人を超える。銃の規制強化を訴える非政府組織(NGO)によると、東部コネティカット州の小学校で児童や教諭ら26人が殺害された2012年の事件以降、銃犯罪の犠牲になった子どもは7千人に上るという。
大統領選で巨額の政治献金を受けたトランプ大統領はNRA支持を公言しているが、銃規制を求める世論の高まりは無視できず、規制強化を一部容認した形だ。だが、11月の中間選挙を控え、NRAは豊富な資金力を背景に保守派議員への影響力を行使し、囲い込みを強めるとみられる。