北海道・札幌南高校 図書局に
元気が出る本を選んでもらいました。(価格は税込み)
バカが全裸でやってくる
入間人間著(メディアワークス文庫、616円)
◆恥ずかしがらずに一読
特徴は言うまでもない。題名だ。感動的なストーリーもなく、熱狂的な冒険もなく、格好いい登場人物もいない。しかし、それだけで終わるような物語ではない。バカたちの、素直で熱い思いが強く伝わる。取り繕いもごまかしもせず、作者の心と人間をさらけ出した文章。入間人間にしか出せない、クセになる独特の味わいがある。 (P.Nみたらし 1年)
蝶々の纏足・風葬の教室
山田詠美著(新潮文庫、562円)
◆シュークリームの匂い
少女は転校先でいじめられ、死のうと決心さえする。しかし、ふとした心の変化で少女はほほ笑みを浮かべ、同級生を「風葬」する。少女の感性豊かで繊細な語りは、私に大好きな人や場所、時間を思い出させる。シュークリームの匂いひとつで、学校という檻(おり)から抜け出した少女。「わずかなことで全てが変わることもある」と、何か大きな力を与えてくれる。( P.N唐木 1年)
ティファニーで朝食を
トルーマン・カポーティ著、村上春樹訳(新潮文庫、637円)
◆洒脱に、自由に
駆け出し作家の青年は、階下に住む新人女優ホリー・ゴライトリーに出会う。青年と彼女は良き友人になり、彼は振り回されることになる。ホリーの魅力を一言で言い表すことはできない。いろいろな色が入ったその髪と目が、彼女をよく表している。したたかに、自由に、猫のように生き、自分のエゴを強く持つホリーの言葉や生き方は、元気をくれる。 (P.Nまお 1年)
椿山課長の七日間
浅田次郎著(集英社文庫、713円)
◆美人OLになって現世へ
椿山課長は死んだ。しかし、あの世の役所には、現世に7日間行けるシステムがあった。そして未練を残した彼は、現世に舞い戻ってきた。美人OLの姿で。OLになったおっさんが自分に見とれて数時間鏡を眺めたり、実の息子とオネエ口調で会話したり、元カノと鍋をつついたり。浅田次郎のユーモアが爆発した、笑いありの物語だ。 (佐藤空君 1年)
高校図書館デイズ 生徒と司書の本をめぐる語らい
成田康子著(ちくまプリマー新書、907円)
◆読後の楽しみ
どうして本を読むのか。それはすぐに明快な答えが導き出せる問いではない。でも、もし読んだ本に対して誰かと意見を交換するためだとしたら……。「一冊の本を読み終わった時、余韻に浸るのはもちろん、本について誰かと話したい!」と思いを抱く人々と司書さんの対話だ。読み進めるうちに、彼らを自分の分身のように感じてしまう。なぜだろう。不思議だ。(P.N佐藤あさひ 1年)