全国高校総体(インターハイ)卓球の女子ダブルスが8月2、3日に岡山県総社市のきびじアリーナで行われ、決勝で昨年準優勝の橋本帆乃香・塩見紗希(大阪・四天王寺ともに3年)ペアが初優勝に輝いた。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)
挑戦者の気持ちで臨んだ
決勝を争ったのは、同じ四天王寺の梅村優香(2年)と塩見の妹・真希(1年)のペア。後輩ながらインターハイ大阪府予選では0対3の完敗を喫していた。橋本は「向かっていくしかない」と挑戦者の気持ちで臨んだが、「橋本がカットでつなぎ、相手の甘くなったボールを塩見紗がスマッシュで決める」という得意の攻撃パターンは、準決勝までのようには簡単には決まらなかった。この日も苦しい展開を強いられ、1対2で迎えた第4ゲームに先にマッチポイントを握られてしまう。
しかし、塩見紗が「タイムを取ろうか迷いましたが、橋本さんが『大丈夫』と言ってくれて、そこから力が抜けて良いプレーができるようになりました」と振り返ったように、開き直ったプレーでデュースに持ち込み、このゲームの奪取に成功。ファイナルゲームも序盤は相手に押し込まれたが、冷静かつ積極的な攻撃で徐々に点差を詰めると、またしてもデュースにもつれた大熱戦を制した。
昨年は準優勝、涙が笑顔に変わった
昨年は優勝にあと一歩届かなかった。普段の練習はシングルスの強化に時間を割いているため、「インターハイが始まるまでダブルスの練習を1回もしてこなかった」と橋本は言う。それでも「1本でも多くつなげば、橋本さんが取ってくれるという信頼があった」(塩見紗)ことで、大会を通して息の合ったプレーを披露し続けた。
2年越しの優勝を決めた瞬間は大粒の涙を流した橋本と塩見紗。次第にこみ上げてくる喜びが、その表情を笑顔に変えていった。