全国高校総体(インターハイ)卓球の男子シングルスが7月31日から3日間に渡って郡山総合体育館で行われ、8月2日の決勝で木造勇人(愛知・愛工大名電3年)が戸上隼輔(山口・野田学園1年)を3-1で破って2連覇。学校対抗(団体戦)、ダブルスと合わせて「3冠」を達成した。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)
両脚に異変も「明日は良くなる」冷静さ保つ
学校対抗で9試合、ダブルスで6試合、シングルスで7試合。7月29日からの5日間で計22試合を戦い抜いたタフさには、舌を巻かずにはいられない。
しかし、木造は「初日から不調」で、大会2日目には体に異変が起きていた。「両脚をつってしまい、最終日まで持つかなと。もし負けるとしたら、こういう状況でしかないなと感じていました」。その影響もあり、この日の学校対抗4回戦のシングルスでは今大会唯一となる黒星を喫している。ただ、木造は冷静だった。
「今までも調子が悪くても次の日には良くなったりすることがあり、そのことを自分でよくわかっていたので、『明日はきっと良くなる』と自分の可能性を信じていました」
「どの試合も苦しかった」
シングルスは、ファイナルゲームの9-9までもつれた金光宏暢(東京・大原学園2年)との準決勝が象徴するように「どの試合も苦しかった」という。
「とくに4回戦ぐらいからは全部の試合が勝負だと思っていて、自分が苦しいときに1本、2本先行してゲームを取ることができたのが優勝できた要因だと思います」
決勝の相手となった戸上は、準々決勝の髙見真己(3年)、準決勝の田中佑汰(2年)など、愛工大名電勢を4人も打ち破って勝ち上がってきた。
「自分が2年前に準優勝したときも、準々決勝から決勝まで青森山田(青森)の選手が相手でした。そのときと同じだなと。チームとしても全員が負けるわけにはいかない。自分が(勝利を)見せるしかないなと思って臨みました」
戸上とは約1カ月前のアジアジュニア選手権でも対戦。「攻撃力が高いので、こちらが弱気になったら攻め込まれる」と考えていたという。前半は互いが譲らなかったが、「自分の持ち味であるサーブからの3球目攻撃、レシーブからの4球目攻撃、ラリーになっても自分から攻撃する」という意識で、第3ゲーム中盤以降、ペースをつかんでいく。マッチポイントでは激しいラリーを制して、見事に優勝を決めた。
「結果的にシングルスは連覇。3冠も達成できたので、うれしい。プレッシャーもある中で勝てたので気持ちいいし、解き放たれたという気分です」と笑顔を浮かべた木造。「高校のタイトルはすべてとったので、これからシニアでも簡単に負けない、どんどん勝っていける選手になっていきたいです」と、視線を未来に向けていた。