2020 年に開催される東京五輪。「東京に決まってうれしかった」と大舞台への出場を夢見る高校生アスリートがいる。中学1年から親元を離れ、寮生活をしながら「JOCエリートアカデミー」で卓球に打ち込む石川梨良(東京・帝京2年)=東京・稲付中出身=だ。 ( 文・写真 斉藤健仁)
姉は五輪のメダリスト
「姉のように強くなるには、この環境しかない」。姉とは、ロンドン五輪の卓球女子団体で銀メダルを獲得した石川佳純(全農)のこと。国際的に通用する選手を育てる「JOCエリートアカデミー」に中学1年から入り、現在は東京・味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で練習に励む。
自宅に練習場があり、「気づいたらラケットを握っていた」。姉と同様に、母の指導の下で7歳から本格的に競技を始めた。12歳で山口県から単身上京。今は寮で暮らす。食事こそ作らないが、洗濯など身の回りのことは自分でやらなければならず「最初は大変でした」と振り返る。
練習時間増え成長実感
毎朝6時に起床し、NTCでの練習後に学校へ向かう。学校から戻ると午後3時から9時くらいまでNTCで練習し、食事や宿題などを済ませて11時には就寝する日々。高校に入るとエリートアカデミーの卓球女子で最年長ということもあり主将に任命された。「(中学時代より)自分で考えてプレーできるようになってきましたね。どちらかというとラリーでミスを待つスタイルでしたが、試合に勝つために(サーブから)3球目攻撃など自分から積極的に攻めるスタイルに変えました」と成長を実感している。
高校の大会には出場せず、社会人が集う日本リーグ(2部)に参戦。国際大会に出場するために海外にも遠征し、2月にスウェーデンであったITTFスウェーデンジュニア&カデットオープンでは2位に入った。
お風呂と「嵐」でリラックス
国際大会に出場する際は、学校を休む。授業に遅れないためにも「友達にノートを見せてもらい、休み時間も勉強しています」と学業にも力を入れる。好きな教科は英語と国語だ。「JOCエリートアカデミーでも週1回、英会話の授業があります。海外遠征に行ったときに英語が通じたときはうれしいです」
実家に帰るのは年3回ほど。日曜日も大会が重なり、ほとんど休めないが「お風呂と『嵐』を聴くことがリラックスになっていますね」と笑顔を見せた。 大きな目標は「東京五輪に姉妹そろって出場すること」。そのために、目の前のことをおろそかにすることは決してない。「一つ一つ課題を克服していくことが、より強くなるために、今やることです。そうすれば五輪に近づく」と信じている。
いしかわ・りら 1997 年6月14 日、山口県生まれ。「JOCエリートアカデミー」では卓球女子主将。2008 年全日本選手権カデットの部でシングルス3位。13 年全日本ジュニアベスト8。左利き。158㌢、49㌔