今日の復習をしなければいけないのに、時間だけが過ぎて全く進まない。緊張して部活の大会で普段通りの力を発揮できない──。何だか集中できないとき、どうすれば良いのか。集中力をつくり出すための思考法や具体的な行動について、人間の行動習慣に詳しい冨山真由さんにアドバイスしてもらった。(中田宗孝)

冨山真由さん【とみやま・まゆ】
行動習慣コンサルタント。セミナーや企業研修の講師を務める。主な著書は「今すぐ!集中力をつくる技術」(石田淳監修、祥伝社)など。                                               

勉強は15分間区切りで

──なぜ集中できないのでしょう。

「自分には集中力がない」なんて思っていませんか。これは大きな勘違いです。集中力を発揮するためには、特別な才能は必要ないことを知ってほしいです。勉強が思うように進まないのは、集中力がないからではなく、「集中するコツ」を知らないから。行動と習慣を少し見直すだけで、集中できる自分に変わることができます。

──集中して勉強するには。

一般的に、集中できる時間は15分といわれています。集中力を切らさずに学校の50分授業を受けている人はめったにいません。授業の内容とは別のことを考えたり、何かに気を取られていたりする時間の方が長いんです。逆に言えば「誰でも15分なら集中できる」。自宅での勉強時間を、まずは15分区切りで取り組んでみてください。15分間だけは余計なことを考えずに机に向かう。これを毎日の習慣にしていきましょう。たった15分でも「集中して勉強できた!」という小さな成功体験を得ることができ、自分の集中力にも次第に自信が持てるようになります。

休憩時間にはご褒美を

──15分だけでは勉強が終わりません……。

15分集中することが習慣になれば、応用が利きます。例えば、15分間、英語の勉強をしたら5分間の休憩を挟む。次の15分は数学の勉強に励んで、5分休憩。この「15分勉強、5分休憩」を1セットとして繰り返してみてください。5分間の休憩の時には、好きな物を食べる、スマホを使うなど、頑張った自分にご褒美を与えるのも良いですね。お楽しみのひとときも、集中力を高めるためには必要です。

ポイントは頑張り過ぎないこと。「テスト前だから毎日5時間は自習しよう!」なんて大きな目標を立てるのは避けましょう。あまりにハードルが高いと、ストレスを感じた脳がやらない理由を探し始めますし、5時間の自習ができた達成感に満足して、翌日は燃え尽きて全く集中できないなんて場合も……。集中して勉強することを継続するのが大切です。

悩みや不安は紙に書く

──悩みや不安で集中できないときはどうすればいいですか。

高校時代は多感な時期。悩みや不安があるのが当たり前、普通のことだと思ってください。とはいえ、モヤモヤした気持ちのままでは集中できません。

まずは自分の悩み事、不安に感じていることを紙に書き出してみましょう。書き出すことで自分の心境を整理、客観視でき、今、自分は何をするべきなのか気が付くはずです。今は勉強に集中する時。紙に書いた悩みなどは線で消してしまい、机の引き出しにしまったり、破ってしまったりしても構いません。するとスッキリした気持ちになります。

手足グーパーで緊張解消

──部活の試合やコンクール直前。緊張して本番で集中できなくなりそうな場合は。

緊張すると血管が収縮し、体の末端にまで血液が行き渡りにくくなります。すると、血流の悪くなった手足が冷たくなり震えるのです。手足が震えるほど緊張しているのではなく、手足の震えは緊張からくる単なる身体動作。ですので、手と、靴の中で足の指を「グーパー、グーパー」と握って開く動作を繰り返せば、手足が温まり震えが止まります。気持ちも落ち着くでしょう。