輸入コンテナで発見

南米原産の強毒アリ「ヒアリ」が、日本各地の港湾施設などで見つかっている。5月に兵庫県尼崎市に運ばれた中国からの輸入コンテナ内で発見されたのを皮切りに、ヒアリ定着国からのコンテナに紛れるなどの形で、8月28日までに11都府県に広がった。

横浜港では約700匹が見つかり、働きアリだけでなく、さなぎや幼虫も確認され、女王アリもいて一定期間繁殖していた可能性が高い。福岡市では男性作業員が腕を刺される国内初の被害が出た。

環境省と国土交通省は国内での繁殖や定着を警戒、ヒアリが既に定着している中国、台湾、オーストラリアなどと定期コンテナ航路がある全国68の港湾を対象に生息調査に着手した。ヒアリが見つかった場合は、毒入りの餌を置くなどして早期駆除を進める方針だ。

刺されると強い痛みも

ヒアリは赤茶色、体長2.5~6ミリの小型アリで、攻撃性が強い。毒への反応は人により大きく異なる。刺されると激しい痛みやかゆみ、動悸などの症状が出て、アレルギー反応で死亡する例もごくまれにあるという。農耕地や公園など開けた草地を好み、直径25~60センチのドーム状の巣(アリ塚)を作って、集団で行動する。女王アリは1日に2千個の卵を産むことができる。

もとは南米の熱帯域に生息していたが1930年代に船荷に紛れて米国に拡大。その後、環太平洋諸国にも侵入した。国際自然保護連合(IUCN)の選ぶ「世界の侵略的外来種ワースト100」や、環境省の特定外来生物に指定されている。

ヒアリは体長2.5~6ミリで、赤っぽくつやつやしており、腹部は暗い色だ(環境省提供)

 

【ヒアリ対処のポイント】

 
体長2.5~6ミリで赤茶色だが、他のアリとの判別は困難。特徴は25~60センチのドーム状の大きな巣(アリ塚)
 
それらしいアリをみつけても近づかない
 
刺されるとやけどのような強い痛み。20~30分は安静に。じんましんやめまいなどのアレルギー反応が出たら、すぐに受診
 
海外では重症化するケースは少ない
 
環境省によると、日本に定着していない
 
定着すると、経済損失や生態系破壊の恐れ