第41回全国高校総合文化祭(みやぎ総文)の日本音楽部門で文化庁長官賞を受賞した愛知・菊里高校箏曲部は、部員20人で「箏のための展」を演奏した。今回で15回目の全国高総文祭出場となった。(中田宗孝)

 
愛知・菊里高校箏曲部(8月26日、東京・国立劇場。幡原裕治撮影)

 

 

 

 

 

 

 

後輩の声に耳を傾けて

全2章からなる同曲は、リズムをキープし、出だしの一音目をピタリと合わせることが曲の完成度を高めるという。「楽曲のテンポを体に染み込ませるために、メトロノーム代わりの箱を叩いて正確なリズムを知る。部員同士で息を吸うタイミングを合わせ、呼吸を揃えるといった練習を繰り返しました」(部長の西村琴星さん・2年)

大会には1年生部員も出場。4月の入部後から本番に向けての曲錬を始めるため、上級生の演奏と比べて未熟な部分がある。西村さんは1年生部員に寄り添って指導した。「1年前の自分を思い返して1年生の気持ちを察しました。練習でも演奏中の緊張が少しでも和らぐように声を掛け、後輩の声にも耳を傾けました」(西村さん)。曲中には弦ではなく箏の木の部分を打楽器のように叩く奏法も盛り込まれ、観客を釘付けにした。

「気持ちを音に乗せる演奏ができた」と、公演を振り返る部長の西村琴星さん(中田宗孝撮影)