岩手・北上翔南高校鬼剣舞部(8月27日、東京・国立劇場。幡原裕治撮影)

第41回全国高校総合文化祭(みやぎ総文)の郷土芸能部門で優秀賞、文化庁長官賞を獲得した岩手・北上翔南高校鬼剣舞(おにけんばい)部。約1300年前から岩手県北上地方に伝わる民俗芸能「鬼剣舞」を披露した。(中田宗孝)

ライバル心より仲間意識

この舞には天下泰平や五穀豊穣を願う祈りが込められている。念仏で人々を救い、鬼の面を付けた踊り手たちによる「反閇(へんばい)」と呼ばれる独特の足踏みで、大地の悪霊を退散させる様子などが表現されている。踊り手の2人が組み合い、バク転のように宙返りをする「カニムクリ」と呼ばれる曲芸では観客から大きな拍手があがった。

部は年間50公演をこなす。総勢82人の大所帯の部をまとめるのは部長の小原夏海さん(3年)だ。「私が部員一人一人に気を配りきれない時もありました。でも練習を離れても仲のいい部員同士で自主的に踊りを教えあったりしてくれて。お互いにライバル心はあるけど、それ以上に仲間意識が強いんです」

部員全員で支え合い一致団結。本番では、鬼に扮した踊り手の部員がお囃子担当の部員の音色にのせ、扇や太刀を使いながら勇壮な演舞を魅せた。

部長の小原夏海さんは、一番踊りの上手な人が付ける白い鬼の面で鬼剣舞を踊った。(中田宗孝撮影)