2カ所に分けて練習 校内では守備練習と体づくり
校外のバッティングセンターでは投打に集中。2チームに分かれて2カ所で並行して練習し、効率を上げている。

 5月の春季高校野球近畿大会1回戦で強豪・大阪桐蔭(大阪)を破り、ベスト4入りを果たした彦根東(滋賀)野球部。 「日本一の文武両道」をスローガンに掲げる進学校は、練習場所が2カ所に分かれる悪条件を抱える。非効率にも思えるが、環境が変わることで選手の集中力が増すという。(文・写真 白井邦彦)

一球一球が真剣勝負

2013年に、初めて全国高校野球選手権大会出場を果たした。以降、滋賀で一、二を争う存在になり、今年の近畿大会では4強入り。進学校として知られる公立高校が、なぜ急成長を遂げたのか。広くはないグラウンドしか持たない中で、選手たちは実戦感覚を磨いてきた。

その方法の一つが、学校から離れたバッティングセンターで行う1ボックスバッティング。捕手で主将の篠原漣(3年)は「試合と同じように、捕手、投手、打者が真剣勝負をし、1打席ごとに打者が次々と交代します」と説明する。「バッテリーは配球を考え、直球も変化球も駆使するので、試合に必要な駆け引きがこの練習で磨かれる」と言う。

投手は、打者に考える時間を与えないように、テンポよく投げるため、打者の打席回数も増える。自然と練習密度が濃くなるのもポイントだ。

「朝勉」で予習復習こなす

部が「文武両道」を実現するために大切にしているのが集中力。5月の近畿大会・大阪桐蔭戦で決勝本塁打を打った森杉亮太(3年)によると「伝統の『朝勉』が、放課後の練習に集中するためには欠かせない」という。「平日の朝7時半から約1時間、野球部のみんなで勉強します。授業の予習・復習は『朝勉』で済ませます」

練習場所が校内とバッティングセンターに分かれているのも集中力を高めるのに一役買っている。エース佐々木大樹(3年)は「移動に時間はかかるけれど、バッティングセンターに行けば、できる練習が限られるので集中力が高まる。練習効率は1カ所でやるより高いかも」と話す。

練習環境や時間が限られているからこそ、かえって集中力が増し、効率が上がる可能性もある。投打の同時練習による時間の有効活用と、気持ちの切り替えで高まる集中力。これらを駆使して積み重ねた感性で、目指すは2年前に届かなかった夏の甲子園での勝利だ。

 

あえて選手を混乱させる(村中隆之監督)

練習試合では、あえて劣勢になるような指示を出して、選手たちを混乱させます(笑)。嫌がらせではなくて、できるだけいろいろな場面を選手たちに経験させるのが狙いです。一度、経験しておくと、次に同じような場面に出合ったときに落ち着いて対処できる。ピンチになれば選手間でフォローもし合いますし、そういう積み重ねが公式戦で生きてくるはずです。

【TEAM DATA】
1894年創部。部員75人(3年生21人、2年生28人、1年生23人、マネジャー3人)。春の選抜大会出場3回、夏の甲子園出場1回。7月11日開幕の滋賀県大会では、2度目の甲子園出場を目指す。