高校文化部の代表が全国から集う第41回全国高校総合文化祭(みやぎ総文2017)が7月31日、宮城県で開幕した。仙台サンプラザホール(仙台市)で行われた総合開会式では、県内の高校生551人が演奏やダンス、創作劇などで来場者約1700人を魅了した。8月4日まで、県内各地で演劇、合唱など23の部門大会が開かれる。(文・写真 野村麻里子)
全国の代表生徒ら 地域の特色を宣言
総合開会式の冒頭、都道府県や部門の代表生徒がステージに上がり、福島なら「赤ベコがつなぐ福島の未来」、東京なら「サブカルチャーがつなぐ世界の輪」など、「つなぐ」をキーワードに地域の特色を高らかに宣言した。
企画や運営を担う生徒実行委員会の委員長・三浦凜理さん(仙台第一高校3年)は「(総文祭は)人と人とがつながる、文化がつながる、開催地が世界とつながるという人や文化が結集する場としての役割も果たしている。生徒実行委員会は『史上最高の総文祭』を目指して準備を進めてきた。2年の道のりは楽ではなかった。困難を乗り越えて開会式を迎えられたのは隣で支えてくれている仲間がいてくれたから」とあいさつした。
アカペラに打楽器、伝統楽器 海外高校生のステージ
続いて宮城の高校生と来年の開催県である長野の高校生が互いに地元の祭り文化を紹介し合った。また海外3カ国から招いた高校生が特色ある演奏を披露。中国の生徒は伝統服をまとってアカペラ6重奏や水墨画をイメージした衣装で演舞した。米国はドラムライン(打楽器のみの隊列)のパワフルな演奏で会場を盛り上げ、韓国は日本の箏に似た弦楽器やひょうたん型の両面太鼓などの伝統楽器を奏でた。
合唱や演奏まじえ創作劇 復興に進む姿伝える
後半、宮城の生徒たちがダンスや合唱、オーケストラや吹奏楽などを交えた創作劇「天のかわかぜ~短冊がつなぐ想い~」を発表した。地元商店街の七夕祭りで寿司の屋台を出店していた架空の高校の部活「寿司部」は、東日本大震災で七夕祭りが途絶えたため、部員が激減し廃部のピンチに陥る。そこに実家の寿司店を継ぐため寿司部に入部を希望する女子生徒が現れる。「七夕」を軸にしながら、大津波を乗り越え慶長遣欧使節派遣に使う船を建造した伊達政宗の姿や戦後における仙台七夕祭りの復興、震災からの復興などを描いた。
支えてくれた友人の大切さに気付いた
式終了後、生徒総合開会式委員長の田中七汐さん(仙台第一高校3年)は、「2年間委員会で考えてきたシナリオが実現し、お客様が拍手してくれて本当にうれしかった。『すごい良かったよ』と声をかけていただき、頑張ってきて心から良かった」と手ごたえを語り、「(委員会の)みんなで(本番までに開催してきた)イベントを力を合わせて乗り越えていくことで団結が深まっていった」とこれまでを振り返った。
生徒実行委員長の三浦さんは「いろんな人に支えられてきたと改めて実感している。学校の友人は、原稿に追われているときに励ましてくれたり、(開会式前日の)夜にみんなから『頑張ってね』とLINEでメッセージが来たり。そういう支えがあってこそ私があるのだなと思っている。(本番に先立って行った)プレ大会では独りよがりだった。(今日は)自分に余裕が持てて、人の支えに気付けるようになったのが一番成長したところ」と話した。