「第2回全国高校生伝統文化フェスティバル」(高校伝フェス=京都府、京都府高等学校芸術文化連盟主催)が昨年12月15日、京都コンサートホールで開催された。日本音楽、吟詠剣詩舞、郷土芸能の3部門に全国トップレベルの8校が集結。この祭典を機に伝統・郷土芸能にチャレンジする地元京都の8校を含め、2000人以上の高校生が練習の成果を披露した。(文・写真 白井邦彦)
■伝統芸能にチャレンジ
京都・嵯峨野高校 狂言「鬼瓦」
陶芸や染色の授業に加え、茶室を使用した部活、祇園祭の実地調査など、京都の伝統文化の継承に力を入れる同校。2010年度から京都府の補助を受け、茂山狂言会の指導のもと、生徒が狂言に取り組んでいる。
全校生徒から公募して集まった有志7人のうち、2人が今回の舞台を踏んだ。演目は「鬼瓦」。京都に単身赴任してきた遠国の大名が、五条の因幡堂の鬼瓦を見て故郷の女房に思いをはせるという物語で、喜びや悲しみなど起伏に富む感情の表現が演者の腕の見せどころ。真辺智貴君、芝田岬君(ともに2年)は「緊張で失敗する場面もあった。でも、狂言に挑戦したことで、ほかの伝統芸能にも興味が湧いた」と、すがすがしい笑顔を見せていた。
■日本音楽部門
京都・京都光華高校 筝曲部 「妖精(エルフ)」
創部45年の箏曲部は、光華中学の3人を含む計9人で活動。全国高校総合文化祭に30回以上出場という伝統のある部活で、すでに京都府予選を突破し、今年7月のいばらき総文出場も決めている。 前年に続き2度目の高校伝フェスでは、吉崎克彦作曲「妖精(エルフ)」に挑戦。部長の吉田悠紀子さん(2年)が「この日のために、1週間ほど1日3時間みっちり練習してきた」と言うように、目まぐるしく曲調が変わる難しい曲を見事に演奏。詰めかけた観客から盛大な拍手が沸き起こっていた。
■郷土芸能にチャレンジ
京都・莵道高校 宇治田楽「惣踊り」
能楽のルーツともいわれる田楽に挑戦するため、昨年10月に「莵道田楽チーム」を結成。吹奏楽部を中心としたメンバー18人が地元の伝統芸能「宇治田楽」を学び、今回の舞台発表に向けて練習を積んできた。
宇治田楽のパートは、踊り、太鼓、笛の3つ。踊りを担当した塚田佳乃さん(1年)は「伝統文化は固いイメージだけれど、田楽は豊作を願う楽しい芸能。みんなに広めたい」と言う。同校では日本文化の一つとして、来年度の海外研修旅行での紹介も考えている。
■全国高校生伝統文化フェスティバル
伝統文化の担い手である高校生の活躍の場を増やすことが目的。伝統文化の集積地である京都を舞台に、2012年12月に第1回大会が行われた。将来は地方予選を勝ち抜いた代表校による「伝統文化の甲子園」としての開催を目指している。