東京大学は7月20日、2018年度入試の選抜要項を公表した。医学部医学科の進学希望者が受ける理科三類の一般入試に面接試験を導入する。医療や医学研究に携わるのにふさわしい学生を多面的・総合的に選抜するのが狙いだ。面接試験の結果によっては、学力試験の内容にかかわらず、不合格になる場合もあるという。
医療や医学研究にふさわしいか評価
理科三類の一般入試の募集人数は97人。面接試験は、「受験者の人間的成熟度、医学部への適性、コミュニケーション能力等を評価し、将来、医療や医学研究に従事するのにふさわしい資質を持った学生を、学力試験の成績のみでなく多面的・総合的に選抜します」(選抜要項)としている。面接試験の結果によっては学力試験が合格点に達していても、不合格になる場合があるという。一方、学力試験の成績が合格点より低い受験者が、面接試験の内容で合格することは「想定していない」(宮園浩平医学部長)という。
10分間の個人面接、2度実施する場合も
前期日程試験の3日目にあたる18年2月27日に、複数の面接者による個人面接を10分程度行う。出願時に提出してもらった志望動機などの書類に基づく自由面接形式で行い、受験者によっては、同じ日に再度面接を行うことがある。「合否判断について1回では判断が難しいケースが生じた場合、(面接の)担当者を変えることを想定している」(宮園医学部長)という。
過去にも面接実施、教育改革経て再度導入
理科三類の前期日程試験では1999年度から2007年度まで面接試験を実施していたが、受験者や面接者が違ってもあらかじめ定めた同じ質問を中心にする構造化面接方式だったため、受験生側の対策が進んだことなどを理由に廃止した経緯がある。
だが、医学部生が卒業時点で達成すべき教育成果を検討する中で、「コミュニケーション能力」「プロフェッショナリズム」「社会的視点」は入学の時点である程度備えているべきとの考えに至り、これらの資質を評価するために面接を再度導入することを決めた。入学者の中に、医学・医療を学ぶ動機が不十分で転学部した学生が少数いたことや、教育改革が進み、学生が患者と接する機会が増えていることも背景にあるという。