英国の教育専門誌が集計する「世界大学ランキング」の最新版が9月に発表され、日本からは世界で3番目に多い69校(昨年は41校)がランクインした。日本の大学の最高順位は東京大の39位(昨年は43位)だった。そもそも、このランキングはどのように決まるのだろうか。(西健太郎)

1位はオックスフォード大

ランキングを発表したのは英国の「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」。世界的に注目される大学ランキングの一つで、各国の学生が留学先を選ぶ指針でもある。1位のオックスフォード大(英国)をはじめ、ベスト10はすべて欧米の大学だ。アジアでは、シンガポール国立大(24位)が首位で、中国の北京大(29位)、清華大(35位)に東大が続いた。

「研究」中心の評価

ランキングはどう決まるのか。THEは①教育力②研究力③研究の影響力④国際性⑤産業界からの収入―の5分野を設け、分野内で複数の指標がある。例えば「教育力」分野は、評判調査(世界の研究者へのアンケート)、教員数と学生数の比率、教員あたりの博士号授与数などだ。研究や博士課程教育を重視した指標といえる。半面、学部教育に特化する大学はランクインしにくい、日本語による論文が評価されにくい、といった限界もある。

地方大学もランクイン

ランクインするには、大学がエントリーすることが必要だ。THEによると今回、世界にある約1万8000校の中から980校がランクインしたが、エントリー数は明らかにしていない。

日本からのランクインは69校で、米国、英国に次ぐ多さだ。大規模な総合大学だけでなく、単科大学や地方国立大学も目立つ。THEと提携するベネッセコーポレーションの藤井雅徳さんは「地方国立大学は、地域の特性を生かした研究などが評価されている」と言う。

アジアの競争激しく

上位100位には2校しか入っておらず、アジア首位も逃したことについて、THEで世界大学ランキングを担当するフィル・ベイティ編集長は「日本の大学は何十年もアジアの中で優位だったが、競争が激しくなっている」と語る。日本の大学の課題として国からの予算が削減されていることや、海外からの留学生の少なさなどを挙げた。

大学はランキングをどう見ているのか。東大など11の研究大学でつくる団体は「多種多様な価値が集積する大学をランキングという1つの順位指標で評価すること自体がそもそも無理」と、順位を絶対視しないように訴えている。

「日本版」来年3月に発表

THEとベネッセは日本版の大学ランキングを来年3月に発表する。国内の約200大学の「教育力」を世界ランキングと異なる指標で評価するという。ベイティさんは「米国版は教育に十分な資金が割かれているか、学生が教員と十分話せているかなどを評価しているが、そのまま当てはめずに、日本に合ったランキングにしたい」と話す。日本の高校生の大学選びの新たな指針を目指す考えだ。