高校生にメッセージを送る天野教授=3月22日、つくば国際会議場 (写真提供・科学技術振興機構)

2014年のノーベル物理学賞を受賞した天野浩・名古屋大学教授が3月、「第4回科学の甲子園全国大会」で講演した。自身の高校時代、青色発光ダイオード(LED)との出会いなどを振り返り、研究者を志す高校生にメッセージを送った。
(大橋哲也)

■高校時代は数学に没頭

電子・電気材料工学の第一人者である天野教授だが、高校時代は理科ではなく、数学に没頭していたという。「分からない問題があると、先生が論理的に教えてくれたんです。どんなに難しい問題も論理的に考えれば解けると理解してからは、ますます数学にのめり込んでいきました。その時に身に付けた論理的思考は、今でも世界の研究者と話す際に役立っています」

青色LEDの開発を志したのは、名古屋大学の学生時代。1980年代初頭、赤と緑のLEDはあったが、青色は開発が遅れていた。「これを作ったら、必ず世の中を変えられると確信を持った」と振り返る。

■実験はうまくいかないもの

長年、研究に取り組んできた経験から「実験ではほとんどの場合、思い通りの結果は得られません」と断言する。「ただ、その時に『なぜ、うまくいかなかったか』と考えることが大切。考えた結果、気付くことや新しい発見も多く、実験をさらに進めることができます」と語る。
 「研究者の道は決して安易なものではありませんが、『自分が世の中を変えるんだ』という気概を持って研究を続けてください」と高校生にエールを送った。

最後に「アンテナを張り続けて、いろんなことに興味を持ちましょう。その中で、自分が一番興味を抱き『これなら取り組めそう』と思えることを見つけてほしい」とアドバイスして講演を締めくくった。

あまの・ひろし 1960年生まれ、静岡県出身。浜松西高校卒業後、名古屋大学、同大学院で学ぶ。名城大教授などを経て2010年から名古屋大教授。専門は電子・電気材料工学。青色LEDの発明に貢献したことで、名城大教授の赤㟢勇氏、米カリフォルニア大教授の中村修二氏と共に14年のノーベル物理学賞を受賞。